ドラちゃんのおへや

のび太の名言集

第三章 のび太のブラックホール

 のび太の行動と聞いて、多くの人が頭に思い浮かべるのは、ドラえもんに道具をねだる姿ではないだろうか。これは「ドラえもん」と言う作品自体の根幹に関わる、ほぼ毎回登場する重要な場面である。
 だから、大抵の場合、ドラはのび太の要求に応えて、何かを出してやることになる。しかし、時たまその要求があまりにも無茶で、ドラにさえどうにもならないような事もある。ここでは、そんなのび太の無理なおねだり発言を集めてみた。
 なお、他の章では発言一つ一つにコメントを付けているが、本章は他の章に比べて紹介する発言数が多く、いちいちつっこむのもはばかられるようなストレートな要求が多いので、一気に全てを紹介する。

「目でピーナッツかみき」だしてよ。  2巻「オオカミ一家」

ドラえもん、あき地を作る機械をだして  3巻「ゆめの町、のび太ランド」

自動ラーメン作り機ってない?  6巻「夜の世界の王さまだ!」

ボールをつくる機械をだしてよ  6巻「ダイリガム」

なんか出してよ、空中に土地をつくる機械とか  9巻「無人島の作り方」

鼻でスパゲッティ食べる機械をだしてくれえ!  10巻・大長編1巻「のび太の恐竜」

ばくだんを二十こ出してくれえ  11巻「ジャイアンの心の友」

視聴率上げ機を出してくれ。さあ、出せ!  16巻「宇宙ターザン」

「いいことあった人すぐさま見つけ機」を出して  20巻「アヤカリンで幸運を」

せまいままで広くできないの!?  21巻「ひろびろ日本」

いねむりしながら、おきていられるくすりをだしてくれ  30巻「ねむりの天才のび太」

「出版社の社長と友だちのパパ」をだしてくれえ  30巻「ジャイアンテレビにでる!」

「学校を近くへひっこしさせる機」だしてえ  39巻「四次元若葉マーク」

家をでないで、家出する道具はないかしら  42巻「かくれん棒」

「どんなへたくそでもサーフィンにすぐ乗れ機」を出してっ  TCS1巻「海水コントローラー」

ころばないローラースケートを出して  TCS3巻「あめんぼう」

「自動宿題機」と「おつかい機」と「草むしり機」出して  TCS3巻「マリオネッター」

来年鳴る目覚ましを貸してくれ  FF25巻「初日の出セット」

「フーセンガムふくらましき」を出して  FF29巻「はなバルーン」

宿題やってくれる機械ってないかしらねーえ  FF31巻「すなおなロボットがほし〜い!!」

いつでもどこでもかんたんにしかえしできるのかしてよ  FF35巻「ペンシル・ミサイルと自動しかえしレーダー」

「まんが取り返しマシン」を出して  未収録「ダルマさん、ころんだ帽」

 今回、目に付いたのび太の無茶な要求は全て挙げてみた。思った通り、かなりの量だ。
 これらの発言は、大きく三つのタイプに分けることが出来る。一つ目は「ドラの道具で何とか実現可能」な要求。「自動ラーメン作り機」「ばくだんを二十こ」「家をでないで、家出する道具」などがこれに当たる。しかし、そもそも無茶な要求には違いないので、大抵の場合、ドラは完全に要求に添うことは出来ず、何らかの形で失敗している。「家をでないで、家出する道具」と言われて、姿の消える「かくれん棒」を出すあたり、ドラもかなり投げやりになっているのだろう(「ばくだん二十こ」は、出したのかどうか不明だが、ドラなら持っていてもおかしくない)。
 二つ目は、「ドラの道具でも実現不可能」な要求。「いいことあった人すぐさま見つけ機」「学校を近くへひっこしさせる機」などがこれに当たる(「視聴率上げ機」もここに入りそうだが、複数の道具を使って最終的に「宇宙ターザン」の視聴率は上がったのだから、除外する)。この中で、個人的に好きなのは「いいことあった人すぐさま見つけ機」。他は、要求を全くストレートに道具名にしているが、これだけはちゃんと道具名らしい語感の「すぐさま見つけ機」としているところが面白い。また、「自動はなくそ取り機」が存在するのだから、「フーセンガムふくらましき」などは、あっても良さそうな物だが、ドラ自身「ばかばかしい」と否定しているところがおかしい。
 そして最後は、「オチに使われる」要求。内容的には、二つ目のケースに輪を掛けて無茶な内容であることが多い。「あき地を作る機械」「目でピーナッツかみき」「空中に土地をつくる機械」「鼻でスパゲッティ食べる機械」「せまいままで広く」などがこれにあたる。オチに使われるだけあって、困って他にどうしようもない状態での発言であり、それだけ切実であると言える。
 それにしても、ここに挙げただけでも、「土地を広げる」ことに関した発言が三つもあるのが目に付く。小学生の悩むことではないだろう。日本の土地問題はますます深刻化していることが伺える。