ドラちゃんのおへや

私の好きなドラ話

numさん

 長いドラの歴史の中でも、特に感銘を受けた作品、同時にドラ連載初期の時代ならで はの物語として、

     「白ゆりのような女の子」と「ゾウとおじさん」
ですね。

 どちらもあの大戦争が終わってまだ20数年、連載初期ドラの読者である子供達(私 たちの代ですが)の親世代があの戦火を体験したからこそ、共感を持って読めた物語 ですね。
 因みにドラ初期を楽しんだ世代は、戦地を経験された方々の初孫の代であり、世間に はまだまだ戦火の記憶が鮮明だった頃ですね。
 「白ゆり〜」の思いでは、父がよく話してくれた同時の記憶と重なるのです。 父親も、疎開先で、のび太の父親が味わったような過酷な体験談をよく話してくれま した。
父は当時の先生や、疎開先の地元のいじめっ子に殴られすぎて片耳の聴力を失ったの ですが、それとのび太の父親の体験がかさなってしまい、読む度に戦争の怖さを味わっ たものでした。
 人が直接死ぬ絵よりも、こういった間接的な恐ろしさの方が心に響きました。 物語としては、むしろギャグ的なオチがついて爽やかな感じですが、ドラえもんとい う作品の時代の長さを感じさせてくれます。
 「ゾウとおじさん」は、有名な「ゾウのいない動物園」をベースに描かれていますが、 救いのない現実の物語の悲壮さを、感動的なハッピーエンドに創造し直して貰えた、 まさに救われた気分になった作品です。
 私の父も、幼少期を東京都荒川区日暮里で過ごし、近隣である上野動物園で、かのゾ ウ「ジャンボ」に会っているそうで、「ゾウのいない〜」の話になると、昔はよく目 頭を熱くしていました。
 そして忘れないのが、正月スペシャルで放送された「ゾウとおじさん」です。 父はこんなドラのエピソードがあったとは知らなかったらしく、見ていてほろ酔いも 飛んでしまい、話に見入っていたのですが、あの表情は忘れません。
 ドラの世界観が、戦時中という特異で悲劇的な世界をも幅広く包容したこの2作品は 忘れないと同時に、ドラえもんが産まれた当時に生きた人々の記憶を今にしっかりと 伝えてくれる、貴重なエピソードです。

管理人・おおはたより
 私は、戦争とは縁遠くなってしまった世代ですが、それでも小さい頃に「白ゆりのような女の子」「ぞうとおじさん」を読んで、戦争のつらさ、残酷さなどが幼心に伝わってきたように思います。現在では、父親が戦争を経験した年代という設定にちょっと無理がありますが、時代に関係なく読み継がれていってほしい作品ですね。

作品メモ:「白ゆりのような女の子」TC3巻、FFランド(絶版)1巻に収録。
「ぞうとおじさん」TC5巻、FFランド(絶版)9巻、文庫感動編に収録。