ドラちゃんのおへや

私の好きなドラ話

ケデラッタさん

 ドラえもんはギャグ漫画です。最近はギャグ漫画であると思っていない人も多くなったとは感じますが。「私の好きなドラ話」を挙げるにあたっても、ギャグ作品でもよかったのです。しかし、ドラえもんは長期連載のうちにギャグ漫画であると同時に、のび太の成長漫画の側面も見せ始めました。膨大な作品数から見ればわずかではありますが、のび太の成長の様子も書かれていました。現実に多くの人がドラえもんで語りたがる話の多くは「さようならドラえもん」とか「のび太の結婚前夜」とか、その系統の話の方が多いような気がします。その中にあって、きわめて重要な位置にあるにも関わらず、全く語られる事のない作品があります。その作品名は「45年後・・・」。語られる事のない原因は後にも書きますが、単行本未収録で映像化もされておらずドラファンであっても存在すら知らない人が多い事です。前置きが長くなりましたが、「私の好きなドラ話」として「45年後・・・」を挙げたいと思います。

 あらすじについては、自分で書いても良かったのですが、銀河満月さんが書かれているのが分かりやすいので、そちらを参照して下さい。(直接リンクを快諾して下さった銀河満月さんに厚く御礼申し上げます。)
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/6159/d-plus5.html#20

 私は、小学生当時はコロコロコミックのような漫画専門誌は買ってもらえず、代わりに学年誌を小学1年生から6年生まで1号も買い逃す事なく買い続けました。ですから、同年代のファンに比べて、当時のコロコロコミックの知識が全くなかったりします。「45年後・・・」は小学6年生の1991年3月号、つまり学年誌の一番最後となる雑誌に掲載されていました。当時、既に短編のドラえもんは再録中心となっていて、本作も1985年9月号初出の再録です。しかし、話の内容は、まさに最後に買う学年誌を飾るにふさわしいと言っても過言ではないと思います。だからこそ、中学に進学後しばらくして、掲載された3月号は捨ててしまいましたが、話の内容だけは覚えていたのだと思います。数年後の1996年9月、藤子F氏が亡くなった後、この作品をまた読みたくなり、てんとう虫コミックスを全部集めて見てはしてみたのですが、未収録ということも知ったのでした。そんな中、神保町の某書店で、偶然、本作が採録されている同人誌を見つけて、再び手元でいつでも見られるようになったのは本当に嬉しかったです。
 本作で一番印象深いのはラストの45年後ののび太が子供ののび太に語りかける台詞です。
「一つだけおしえておこう。きみはこれから何度でもつまづく。でもそのたびに立ち直る強さももっているんだよ。」

 そこには、のび太は何度もつまづきながらも息子のノビスケが結婚して独り立ちする段階まで立派に育て上げた事実が間違いなくありました。現実には(私も含めて)のび太以下な人間も多いのではないでしょうか。のび太の方がよっぽど立派だと思います。これでものび太は駄目人間だと言えるでしょうか。ドラえもんは欠陥漫画と言ってる人たちに、ぜひ本作を読んでほしいです。
 なぜ本作が未収録でなおかつ映像化もされないのか、本当に残念です。多くの人が本作を知っていればドラえもんに対する作品認識も変わるでしょうに。一人でも多くの人たちに本作を知ってもらいたいです。
いつの日か、本作が映像化(できれば映画化を希望)され、多くの人の目に触れる事を願ってやみません。

管理人・おおはたより
 まずは、サイト内の一コーナーへの直接リンクを許可してくださった銀河満月さんに、私からもお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 さて、私の小学生時代も、学年誌を一年生からずっと読み続けていましたが、時期が合わなかったため、「45年後………」を、リアルタイムで読むことはできず、それどころか数年前までは、存在すら知りませんでした。再録とは言え、本作を小学校卒業に合わせて読むことのできた方々がうらやましい、名作だと思います。
 本作は、長らく単行本未収録だったため、知る人ぞ知る作品でしたが、雑誌「ぼく、ドラえもん」25号の付録「ドラえもん 単行本未収録作品集」に掲載された後、てんとう虫コミックス『ドラえもん プラス』第5巻に収録されました。また、テレビでも2005年3月11日に初めてアニメ化されたので、最近になって本作に触れたと言う方が多いのではないでしょうか。

作品メモ:「45年後………」TC『ドラえもん プラス』5巻に収録