ドラちゃんのおへや

ドラえもん迷作劇場

第2回「災難予報機」

藤子不二雄ランド「ドラえもん」26巻収録、初出「小学四年生」昭和55年7月号

現在は「ドラえもん プラス」4巻に収録

 ドラえもんの道具で「さいなん報知器」というのはご存じですか?。
 てんとう虫コミックス7巻「さいなんにかこまれた話」に出てくる腕時計型の道具で、災難が近づくとブザーで知らせてくれるという物です。この道具、便利といえば便利ですが、目前の災難しか知らせてくれない、どんな災難かは実際にその災難にあってみなければわからない、などの欠点があります。
 その点、今回ご紹介する「災難予報機」は、誰がいつどんな災難にあうかを「何時間以内」という時間指定付きで教えてくれます。なんと便利な道具でしょう!。
 …しかし、この道具にも、たった一つ重大な欠点があったのです…。

(あらすじ)

 もうすぐ野球の試合の時間なのに宿題が片づかずにあせるのび太。宿題を終わらせずに家を出たらママにどやされる。のび太はジャイアンに電話して事情を話そうとするが、運悪く電話はママが使用中。ドラえもんに電話を出してもらおうとするが、ドラえもんが昼寝中のため、のび太が勝手にポケットを探るとそれらしき物が出てきた。
 しかし、ダイヤルもボタンもないため、「ジャイアンをたのむ」と言ってみると、紙テープが出てきて「ジカンハ?」とたずねてくる。なんのことだかわからないのび太は、「とにかく急いでるんだよ5分以内にたのむ」と言うと、今度は「オシツブサレル」という紙が出てくる。
 「電話じゃなかったのか」と、あきらめたのび太は直接ジャイアンの家に行くと、そこには、野球にいくのをとめられて母ちゃんにおしつぶされているジャイアンの姿があった。
 のび太が昼寝から目覚めたドラえもんにたずねてみると、「これは『災難予報機』だ。何時間以内にどんな災難にあうか知らせてくれるんだ」とのこと。面白がったのび太は自分の災難を知りたがるが、ドラえもんは、「それで災難を知ることはできても防ぐことはできないんだ。何も知らない方が気が楽だよ」と、とめる。
 こわくなったのび太は、自分ではなくスネ夫の災難を聞いてみると、これが見事的中。のび太はしずかちゃんの災難を聞いて守ってあげることを思いつく。「災難は絶対避けられないのだ」というドラえもんをよそに、「でも一応」と聞いてみると、災難予報機の答えは、「ゴキブリにけとばされる」であった。
 変な予報ではあるが、ドラえもんは「予報機がそういうならきっとそうなる!!」という。のび太とドラえもんはゴキブリからしずちゃんを守るべく、「石ころぼうし」をかぶって源家へとはいり、家中を探し回るがゴキブリは一匹も見つからない。そこで、予報機が知らせた二時間が過ぎるまでしずちゃんについていてあげることにする。
 のび太とドラえもんに見守られながら静香は勉強、おやつ、入浴をすませていくが、ゴキブリはなかなか現れない。
 と、そこに「ドタドタ」という音とともに人間サイズのゴキブリが現れ、のび太をけとばしていった。ドラえもんは「きみが身代わりになってしずちゃんは助かったけど、ありゃなんだ」と、不思議がる。
 実は、源家の裏の空き地でCMを撮影しており、ゴキブリ役の役者がトイレをがまんできなく、源家のトイレにかけ込んだのだった。  巨大な「ゴキブリコイコイ」のセットを前にして、のび太とドラえもんはぽかあ〜んと立ちつくすのであった。

(以上、セリフはすべて「災難予報機」本編より引用)

(いいかげんな解説)

 このお話、私が一番好きな「ばかばかしい話」の系列に属すると思われます。いやあ、便利ですねえ、「災難予報機」。これで、起きる災難を防ぐ手だてが残されていれば、なおいいのですが。それにしてもドラえもん、いつもは「未来は変えられるんだ」って言ってるくせに、この「災難予報機」の示す未来は無条件に受け入れていましたね。きっと、「災難予報機」はそれほどすごい機械なんでしょう。
 この話、あらすじだけだと後半など「しずかちゃんの災難を防ぐんだ」と、シリアスな感じもあるのですが、実際は終始のび太とドラの二人は笑い顔で、緊張感のかけらも感じられません。ま、災難の内容が内容なだけに、その気持ちもわからなくはないのですが。

「ドラえもん迷作劇場」第2回 おわり (1997.9.16)


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