ドラちゃんのおへや

ドラえもん迷作劇場

第7回「ツチノコさがそう」

藤子不二雄ランド「ドラえもん」4巻収録、初出「小学五年生」昭和49年5月号

 前回から約2年のブランクを置いての、本当に久々の「迷作劇場」です。コーナーの主旨も少し変えてしまいましたが、FFランド版ドラの変な話を紹介するという基本的コンセプトは同じです。
 さて、今回はのび太がツチノコを探す話。と、言ってもてんコミ9巻「ツチノコ見つけた!」ではありません。実はあれよりも前に、すでにのび太は一度ツチノコをつかまえていたのです。しかし…。

(あらすじ)

 何かを懸命にドラえもんに頼むのび太だが、ドラは「だめ!!」と言うばかり。のび太はみんなに「ツチノコを見た」とでまかせを言ったが、誰も信じてくれない。そこで、ドラにツチノコを出してくれと言っているのだ。結局のび太は、ドラは頼りにならないと一人で山にツチノコを探しに行くことにした。だが、実は「いざとなればちゃんと助けてくれる」と、やはりドラをあてにしていたのだ。
 「ツチノコやーい」と、とりあえずツチノコを探している格好をするのび太。辺りを見回すと、木の陰にドラえもんの姿が見える。そこでのび太は、わざとらしく「つまらないうそをついたために苦労するなあ ドラえもんの言うこと聞けばよかった」などと大声で言うのだった。のび太が食べ物を欲しがるそぶりを見せると、ドラはサンドイッチとミルクを出した。それで、のび太はさらに調子に乗って「これでツチノコが落ちてるともっとうれしいのにな おもちゃでいいんだよ 電池かなんかでピョコピョコ動くの」などと言うが、これにはさすがのドラも「むしのいいこと言ってら」と、聞き流すのだった。
 その後、のび太はあたりを探すが、何も見つからない。そのうちドラが助けてくれると思っているのび太は「もう少し苦労しないと同情してくれないんだ」と思い、さらに山の中をツチノコを求めて歩き回るが、全く反応なし。ついに開き直って「見つけるまで帰らないから! 一生山の中さまようから」と、決心したその瞬間、のび太の後ろで「バサ」と言う音がして、何かが落ちてきた。
 のび太は、ドラがツチノコを出してくれたと思って「やっぱりドラえもんだなあ」と喜ぶが、それを拾って開口一番「なんだこりゃ」。それは「しまりのない不細工なまんがみたいな顔」のツチノコだったのだ。それでも、のび太はそのツチノコをつかまえてみんなに見せるが、みんなの反応は「別におどろかないね」「のび太にはドラえもんがついてるもの」「ロボットかなんか出してもらったんだろ」。のび太の考えることなどお見通しだったのだ。
 「むだなほねおりだった」と、失望してツチノコを空き地に捨てるのび太。その後、ドラにツチノコの事を話すが、ドラは「知らないよ ぼくはサンドイッチをわたしてすぐ帰っちゃったから」と言う。なんと、のび太がつかまえたツチノコは本物だったのだ。ドラは「もったいないことしたなあ」と、網を持ってツチノコを探し始めるのだった。

(以上、セリフはすべて「ツチノコさがそう」本編より引用)

(いいかげんな解説)

 てんコミでは、9巻の「ツチノコ見つけた!」でツチノコが登場しますが、これは「小学六年生」昭和50年3月号に掲載された作品ですので、「ドラえもん」史上におけるツチノコ初登場は本作「ツチノコさがそう」になります。のび太は、二度もツチノコを逃していたのですね。
 てんコミだけを見ると「ツチノコは、のび太が未来の世界から持ってきたから見つかったのであり、あの一匹だけでは増えない」と誤解されがちですが、本作でわかるとおり、ドラえもん世界ではツチノコはちゃんと昔から山に棲息していたようです。本作でのび太はツチノコを空き地に捨てているので、「ツチノコ見つけた!」でジャイアンが見つけたツチノコも、実は本作で登場したのと同じなのかも知れません。
 ツチノコは、この後長い間を置いて「チンプイ」にも登場しており(デザインは異なる)、藤本先生が、未確認動物の中で特にツチノコに興味を抱いていたことが伺えます。そうでなければ、のび太に一年間に2回もツチノコを探させたりはしないでしょう。「ツチノコ見つけた!」を補完する意味でも、本作はてんコミに収録して欲しかったと思います。

「ドラえもん迷作劇場」第7回回 おわり (2000.3.9)


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