No. | 巻数 | 頁数 | 復元後(昔の版のセリフ) | 復元前(現在の版のセリフ) |
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(1) | 1 | 59 | 神けいのはたらきをくるわせて | 神経の働きをかえて |
(2) | 1 | 75 | わたしくるっちゃったらしいの | わたしへんになったらしいわ |
(3) | 1 | 76 | ちょうちょ、ちょうちょ、ヒーラヒラ | どーしましょ、どーしましょ |
(4) | 1 | 79 | くるっちゃったとか、言ってたな | 昔へきちゃったとか、いってたな |
(5) | 1 | 97 | きみらとは家がらがちがうよ | きみらとはちょっとちがうよ |
(6) | 1 | 98 | うちは家がらが…… | うちは先祖が…… |
(7) | 1 | 126 | ノータリン、のろまのとんま | 大ばかやろうののろまのとんま |
(8) | 1 | 135 | ばかにつけるくすりでもあったのか | なにかいいくすりでもあったのか |
(9) | 1 | 167 | 気がちがったんだ | おかしくなったんだ |
(10) | 1 | 186 | 馬と竹のあいの子で | 馬と竹の間の子で |
(11) | 2 | 57 | 急にくるったように勉強しだして | 急に勉強しだして |
(12) | 2 | 100 | なにっ。のび太くんは二十歳で こじきになるって | なにっ。のび太くんは二十歳で ホームレスだって |
(13) | 2 | 100 | 三十歳で、気がくるって、 四十歳で、首をつるというんだよう | 三十歳で、病気になって、 四十歳で、死ぬというんだよう |
(14) | 2 | 101 | あわれなこじき。おめぐみを | わたしにお金でも食物でもおめぐみを |
(15) | 2 | 184 | ママは怒りくるうぞ | ママは怒りまくるぞ |
(16) | 4 | 37 | ドラえもんが正気にかえるまで | ドラえもんがもとにもどるまで |
(17) | 4 | 44 | わあ、ドラえもんがくるった | わあ、ドラえもんがへんだ |
(18) | 4 | 101 | 気ちがいかと思われる | へんだとおもわれる |
(19) | 4 | 154 | うすらばか | ばか |
(20) | 5 | 54 | 橋の下とか、ゴミための横とか… | 電車の音がしたとか |
(21) | 5 | 61 | わたし、こじきのまねがしゅみで | わたし、こんなことがしゅみで |
(22) | 5 | 86 | ついにくるった | ついにおこった |
(23) | 5 | 104 | くるったように走り出した | わあっ暴走だっ |
(24) | 5 | 143 | きみ、頭がおかしくなったんじゃないだろうね | きみ、おかしくなったんじゃないだろうね |
(25) | 5 | 175 | ぞう気ちがいだったもんな | ぞうが大すきだったもんな |
(26) | 6 | 26 | こじきルックと名づけてはやらせよう | 古着ルックと名づけてはやらせよう |
(27) | 6 | 88 | どこへでもいいから、このごみを | ゴミをだしてきて |
(28) | 7 | 152 | スネ夫さんが、くるったのよ | スネ夫さんが、おかしいのよ |
(29) | 7 | 164 | そのほか、からだの部品、 なんでも一日十円でかします | そのほか、なんでも一日十円でかします |
(30) | 8 | 24 | 狂時機(マッドウオッチ) | 驚時機(きょうじき) |
(31) | 10 | 80 | ここに頭のおかしな子がふたり… | ここにへんな子がふたり… |
(32) | 12 | 59 | くるったようにおこっちゃって | めちゃくちゃにおこっちゃって |
(33) | 13 | 11 | つかまったらたべられるぞっ | 海賊がおそってきた!! |
(34) | 13 | 34 | 気がくるっちゃう | 気がちがっちゃう |
(35) | 13 | 67 | ふとんでももってってくれ | これでももってってくれ |
(36) | 14 | 75 | 機械がくるったらしいぞ | 機械がこわれたらしいぞ |
(37) | 16 | 143 | 黒んぼう大会があるんだよ | 日焼け大会があるんだよ |
(38) | 17 | 149、152 | 狂音波 | 驚音波 |
(39) | 21 | 28 | 狂時機 | 驚時機 |
(40) | 21 | 107 | 化け物だ | だめだ |
(41) | 23 | 55 | いかりくるうジャイアンを | いかりまくるジャイアンを |
(42) | 24 | 172 | マッドウオッチの働きよ | 驚時機の働きよ |
(43) | 33 | 16 | ねたましさに気がくるいそうだったのだ!! | ねたましさに気が変になりそうだったのだ!! |
(44) | 34 | 76 | そんなら「マッド・ウオッチ」で | そんなら「驚時機」で |
(45) | 36 | 90、91、 93、94 | 暗き天にマ女は怒り狂う | 暗き天にマ女は怒る |
(46) | 36 | 170 | ひみつのごみすてば | ひみつのごみだしば |
(47) | 36 | 170 | ないしょごみすてホール | ないしょごみだしホール |
(48) | 36 | 171 | 山ほどすてられるよ | 山ほど入るよ |
(49) | 36 | 171 | ごみすててこようか | ごみだしてこようか |
(50) | 36 | 172 | なにかすてるものがあったら | なにかいらないものがあったら |
(51) | 36 | 172 | さっそくすてたいものが | さっそくいらないものが |
(52) | 36 | 173 | えんりょなくすてろ | えんりょなく入れろ |
(53) | 36 | 180 | すてる装置なのに | だす装置なのに |
(54) | 36 | 191 | これをすてさせて | これを入れさせて |
(55) | 38 | 82 | 世の中がくるったんだ | 世の中がおかしいんだ |
(56) | 38 | 157 | マンモスがくるったように走ってゆく | マンモスがすごいいきおいで走ってゆく |
(57) | 44 | 89 | コップ一ぱいに味の素少しょう | コップ一ぱいに調味料少しょう |
自主規制による、いわゆる「言葉狩り」。これが一番深刻な問題と言えるでしょう。もちろん差別自体はあってはいけないことですが、「ドラえもん」では、他の本では普通に使われている「くるう」や「狂」の文字さえも消そうとするなど、明らかに過剰に反応しています。小学館で「狂う」が普通に使われている漫画もあるので、おそらくこれは藤子プロの意向によるものと思われます。
このように、半ば無理矢理セリフが変更されたため、初期作品では最新版で読むと妙にセリフのテンポが悪い話がいくつも生じてしまいました。「怒り狂う」なんて普通に使われている言葉を、どうしてわざわざ消そうとするのか理解に苦しみます。
ともかく、これだけ量が多いと、いちいち一つずつ解説していられませんので、重要なところやわかりづらいところについて触れてゆきます。
(30)(39)(42)(44)の「狂時機(マッドウオッチ)」(現在は「驚時機」)や、(38)の「狂音波発振機」(現在は「驚音波発振機」)は、「狂」を消したため道具の名前まで変えられてしまった例です。「驚音波」はまだしも、「狂時機」は「マッドウオッチ」の日本語直訳ですから、「驚時機」では意味をなさないと思うのですが。
(24)は、元々人食い人種がおそってくる場面だったので「たべられるぞ」だったのですが、それが海賊の絵に変えられたためセリフも変更されました。絵の方はExtra Caseを参照して下さい。
(46)〜(54)は、ゴミを「すてる」と言う点が問題となり、道具名まで変更されてしまいました。確かに、最近ではゴミはルールに従ってきちんと分別して「だす」のが当たり前となってきていますが、作中で行っている行為はどうみても「ごみすて」です。それにもかかわらず行われたこのような変更には納得しかねます。
(57)は「味の素」という具体的な商品名が「調味料」に変えられました。クレームでも入ったんでしょうか。
さて、一通り気になるところについては触れましたが、実は、てんコミ全45巻中にはまだ「狂う」や「クルクルパー」などのセリフが、変えられずに残っている箇所がいくつかあります。これらが変更されたとなると、作者亡き後に第三者が作品を改竄したことになります。気を付けて、今後を見守りたいところです。
★Special Thanks
イーストさん…(35)
上野良樹さん…(55)
き〜ぼ〜さん…(5)(6)(16)(19)(27)
kei_doraさん…(46)〜(54)
島田さん…(5)(6)
ケデラッタさん…(31)
まさおとマサオさん…(37)
よねさん…(29)