第23巻「ぼくよりダメなやつがきた」。
これは転校生の多目くんの話で、ボクにとってドラえもんに教えられているような気
にさせられた話の中で一番のお気に入りです。今や単行本は手元にはないものの、少
し克明に覚えているものの一つです。
特に「配役入れ替えビデオ」をのび太に見せているシーン。あれは今思い出して心に
響くものがありました。
いつの間にビデオに撮っていたのかという疑問はさておき、ドラえもんはビデオを
セットします。
その後、多目くんをのび太に、のび太をスネ夫に入れ替えます。
配役を入れ替えた後は数々のシーンが繰り広げられます。
「どんなゲームになることやら、想像しただけで笑っちゃうよ。アハハハ」
ここでいたたまれなくなって「もう見たくない、やめてくれ!」と言うのび太。
ドラえもんがのび太に言いたかったことがわかったからでしょう。
「スネ夫くんたちがのび太くんにしていることと同じことを、君は多目くんにしてる
んだぞ」
ドラえもんは、のび太の「多目くんに対する態度や言葉」に情けなく思ったのだろう
と思います。あまりにもスネ夫たちと似すぎている、そんな態度に・・・。
その後、のび太は外出しますが、その先で見たものは空き地で多目くんがジャイアン
たちにからまれているところでした。すぐドラえもんに知らせようとしましたが、思
いとどまって多目くんをかばいます。
「やめろ!多目くんを推薦したぼくの責任だぞ!」
このシーンに、のび太の強さというものを感じました。
この後、ボコボコにされて帰ってきたのび太へのドラえもんの一言。
「よく殴られた!」
これは最高の誉め言葉ではないでしょうか。
最後。この多目くんの一言は立派だと思いました。
「君ほど(忘れたので途中省略)友達はいなかった。勉強やかけっこを一緒にしたり、
時にはいじめっこからかばってくれたり・・・。君のこと忘れない」
多目くんは、のび太と過ごしたひとときをいい想い出として去っていったでしょう・
・・。
*セリフに間違いがあるかもしれませんが多分同じだろうと思います。
管理人・おおはたより
ドラの道具を使ったとは言え自分の醜さと向き合うことができたという点が、のび太の偉い所なんでしょう。
この話がいいのは、単なる「いい話」でおわらせずに、最後にのび太を「穴」に入れるというオチでちゃんと笑わせてくれるところです。何度見ても笑えます。ドラはどういうつもりであんな事をしたんでしょうね。
作品メモ:「ぼくよりダメなやつがきた」TC23巻、FFランド(絶版)33巻、文庫0点・家出編、自選集下巻に収録