こんにちは、銀河満月です。僕の好きなドラ話を紹介したいと思
います。
まずは最近気に入った話から。先日初めて国会図書館に行き、
「分かいドライバー」を読んできました。fuchiさんご推薦の話
を読んできたわけですが、僕も一発で気に入りました。比較的中
期に描かれた作品にも関わらず、そのナンセンスぶりに驚きまし
た。
詳しいストーリーは省きますが、この話では登場人物全てが本当
に魅力的に活動しています。特に面白いのはドラえもん。「手を
かせば文句ないんだ」といきなりのび太をバラバラにし、右手を
持っていってぶっ倒れたママを見て「あれ、よんどいてねちゃう
なんて」と、すごい事態が起きているにも関わらずのんびりとし
たその対応は、初期のドラを彷彿させます。ナンセンスギャグと
してはかなり高レベルの話なので、何らかの形で世間に出てきて
欲しい作品です。
次は以前から好きな作品を。それは「具象化鏡」です。はじめて
見た時は「名前が全部漢字の道具は珍しい」くらいにしか思って
いなかったのですが、呼んでみると実に面白い内容なのです。
話は、言葉の上の表現を具象化する道具・具象化鏡を使うのび太
の周囲で起きる出来事をつづった話です。この話で一番面白いの
は、終盤で作品の雰囲気が一気に変わる点です。最初は具象化鏡
を使った状態でののび太が描かれますが、この時ののび太が最
高!テストの点が悪いと思いこんで落ち込んでいると思ったら、
スネ夫が「真っ赤なウソ」をついていたのを見てころっと「明る
い人」になり、しずかと出木杉を見て「嫉妬の炎」を燃やし、さ
らに「絶望のどん底」に落ち、「胸が張り裂けそうな悲しみ」に
陥る。この時ののび太の表情は実に豊かで、まさに心底楽しんで
いる雰囲気が分ります。このあたりは「分かいドライバー」にも
通じていますね。ここまではナンセンスギャグの世界です。
そして先生からテストの点が良かったことを聞かされたのび太は
「天にものぼる心地」「はずむ足取り」で帰路につきますが、そ
の時どこからかでっかい足音が聞こえてきます。それを聞いたド
ラえもんは「あれは春の足音だよ」と言います。それまでのギャ
グの世界が一転してほのぼのとした世界になってしまうのです。
途中まで思いきりギャグを飛ばし、最後でほのぼのとした味わい
を出す。この話は「ナンセンスとハートフルの融合」という、完
成されたドラえもんの世界を象徴しているような作品だと思いま
す。
管理人・おおはたより
「具象化鏡」ですが、正直なところ私は「「時」はゴウゴウと流れる」で登場した「タイムライト」の存在意義を否定したしまった話くらいにしか意識していませんでした。本作の新たな一面を見せられ、目からうろこが落ちる思いです。
無理に「具象化鏡」の欠点を挙げるとしたら、コミックスではオチがわかりにくいと言う事ですね。初出は3月号なので問題ないのですが。ちなみに、アニメ版では「輝く明日」に変更されていました。
作品メモ:「分かいドライバー」単行本未収録、「具象化鏡」TC39巻に収録