僭越ながら、僕の好きなドラ話を投稿させていただきます。
タイトルはよく覚えていませんが、ドラえもんとのび太が、ヨーロッパのお城を買
う(結局買わなかったけど)話です。
笑いあり涙あり、手に汗握るサスペンスあり。傑作中の傑作であります。
都会の住宅事情のため、家が欲しくても買えない野比家。そこに、ドラえもんが、
「だったらお城を買おうよ」と。ドイツの古城なら、一千万円(でしたか)で買える、
買い物その他はどこでもドアを使えば何とかなる。下見に出かけた、のび太とドラえ
もん。
「くださいな、おしろいっこ!」
……初めて読んだとき、腹がよじれるほど笑いました。このセリフ。
古城の持ち主であるロッテ、さらにその古城に隠された財宝を狙う、ロッテのおじ
ヨーゼフ。ふたりの「カマかけあい」のセリフは、子供心に「イヤだなあ」と思った
ものです。ヨーゼフは言います。この城には幽霊が出る、と。
さらに、家族を連れて古城に再び向かうシーン。風呂敷包みを背負うママ、浴衣姿
のパパ……。二畳一間のアパートに行くわけじゃないんだから……。このシーン、い
つ見ても笑えます。
ストーリーは進展していき、ロッテがヨーゼフの策略にはまり、地下室へと閉じ込
められてしまいます。
この時の、無言でガチャガチャ歩く、幽霊を装ったよろいカブト姿のヨーゼフは、
相当怖い!
結局、「幽霊には幽霊を」ってなことになり、ロッテのご先祖様をタイムマシンで
呼び寄せて、ロッテは無事救出されるわけですが、
その時のロッテを見つめての、ご先祖様のセリフ。
「む、わが妻の面影が残っておる」は、やはり泣かせる場面です。
この話、「おとなのためのドラえもん話」(いま思いついたカテゴリですが)とし
て、ベスト3に入るでしょう。
管理人・おおはたより
この「ゆうれい城へ引っこし」は、通常の「ドラえもん」とは違って、「少年サンデー」の増刊号に描かれたものだけあって、怪奇ムードたっぷりのミュンヒハウゼン城の描写や祖先の財宝を巡る確執など、多少対象年齢が高めに設定されている印象を受けます。個人的には、日の昇るラストシーンが特に印象的です。
作品メモ:「ゆうれい城へ引っこし」TC12巻、FFランド(絶版)17巻に収録。