私の好きな話ですが、「ドロン葉」が好きです。見るといつも泣きます。
長年、ひどい飼い主に暴力をふるわれ、食事もろくに与えられず、
散歩にも連れって行ってもらえない不幸な犬「ベソ」の、
それでも心の奥底では主人を想っている、感動のお話だとおもいます。
<簡単なあらすじ>
日本では昔から、狸が人を化かすという迷信がありました。
そこで21世紀では、狸の脳から出る特殊な波長で人を化かすことのできる「ドロン葉」が発明されます。
のび太としずかちゃんは、しずかちゃんの家の裏に住んでいる、
不幸な犬ベソの頭にドロン葉を乗せてみました。
しばらくしてひどい主人が来ると、ベソは主人を化かし、ベソと主人の姿を交換します。
主人に変身したベソは、自由に外に遊びに行けるのがうれしくて飛びまわります。
少年野球にも参加し、大活躍。一日中遊びまわります。
その間、鎖に繋がれた主人は、昔ベソと一緒に野原を駆け回っていた時の記憶を思い出していました。
日も暮れて、主人の元にベソが帰ってきました。
今後、ベソはどうするのでしょうか?このまま主人の恰好をしていくのか?
ベソは主人の機嫌が悪くなると、いつもバットで殴られていました。
主人は「いつも俺がやっているように、殴れ!」と覚悟を決めます。
ベソも迷っています。
ですが、最後にベソがとった行動は、ドロン葉をとって、主人を開放してやることでした。
主人はベソを抱きかかえ、涙したのでした。
めでたしめでたし。
という感じでしょうか。
近年ペットブームということもあり、犬猫を飼う人が増えています。
しかし、その一方で、残酷な目にあわされているペットもたくさんいます。
最近私の家の周りによくいる野良猫の目が、片方つぶされていました。
1匹だけではなく3匹ほど。とても懐っこい、かわいいネコです。
引っかき傷がないことからたぶん、中学生あたりがエアガンで打ったのでしょう。
私の出身大学で、かわいそうな犬猫の引き取り先を探す団体がありました。
私の家のネコも捨て猫なのですが、最近では
「飽きたからいらない」だとか
「ブサイクだから捨てる」だとかで
平気で保健所に預けに来るやからが増えています。
そういうペットを保健所から預かり、引き取り先を探す取り組みをしていました。
そういった、生き物を飼う、痛い・うれしい・さびしい・悲しい
すべての感情が理解できる犬猫を平気で捨てたり殺したり、
さみしい時代だなと思います。
確かに、餌・注射代はかかりますし、散歩なども大変です。
ですが、イヌネコが私たちにくれる幸せな気持ち、安らぎ、は計り知れないものがありますし、
何より私たちが大切にすれば、イヌネコも答えてくれます。
このドロン葉というお話はその典型かと思います。
どんなに主人に痛めつけられたとしても、昔楽しく遊んでくれた主人のことを、
今でも憶えていてくれて、ベソ大好きな主人とまた一緒に遊べる日をずーっと夢見ていたのではないかと、私は思います。
現代(特に都市部で)ヒドイ飼い主に対して、私はこのお話を是非見せてやりたいです。
管理人・おおはたより
「ドロン葉」は、話の長さとしては普通の短編なのですが、心に残る一編ですね。普段の話と違って、特にベソとキョーボーというゲストキャラクターに焦点があてられているのも珍しいです。どちらかと言うと、「エスパー魔美」に近いような読後感があります。
私も、ベソの優しいところは特に印象的ですし、そのベソの心がキョーボーに伝わったラストシーンがいいですね。
作品メモ:「ドロン葉」TC16巻、FFランド(絶版)30巻、文庫感動編に収録。