ドラちゃんのおへやコミックスについて

単行本の解説


はじめに

 ドラえもんの単行本(コミックス)は何種類出ているかご存じですか。ドラえもんのコミックスと言うと、大抵の方は「てんとう虫コミックス」を思い浮かべるでしょう。しかし、「ドラえもん」は20年間にわたって連載され、さらには現在でも読み継がれている息の長い作品です。よって当然、他にもいろんな種類の単行本が出ています。ここでは、それら各種単行本の特色や背景などを私の知る範囲で解説します。

目次

てんとう虫コミックスてんとう虫コミックススペシャル
藤子不二雄ランドカラーコミックス
藤子不二雄自選集小学館コロコロ文庫
藤子・F・不二雄自選集てんとう虫コミックスワイドスペシャル
コロコロ文庫デラックスぴっかぴかコミックス

てんとう虫コミックス(小学館) 新書判・発売中

 「てんとう虫コミックス」(以下「てんコミ)は、主に小学館の学習雑誌やコロコロコミックに掲載された児童マンガを収録した単行本で、「ドラえもん」はそのトップバッター4タイトルのうちの一つとして登場した。もちろん「ドラえもん」各種単行本の中でも、このてんコミ版がもっとも古い。
 1974年の第1巻発売以来、1992年5月まででのべ8000万部が発行され、現在は1億部を突破している。また、巻数が一桁台のものは全て100刷を超えており、ロングセラーかつベストセラーと言える。現在、

ドラえもん 1〜45巻
大長編ドラえもん 1〜17巻

の、合計62冊(「大長編ドラえもん」第18巻以降は藤子・F・不二雄プロ作品なので、ここでは除外する)が出ている。いずれも、現在でも書店で容易に入手可能。
 このうち、短編については1969年12月発表の第1話「未来の国からはるばると」から、1994年「ガラパ星から来た男」まで、藤子・F・不二雄先生自身が選び抜いた821編が収録されている。45巻の初版には「第46巻に続く」との記述があったが、現在の版では削除されており、てんコミ版は全45巻で完結したと考えられる。
 「大長編」は毎年春休みに公開されてきた映画の原作で、いずれも普段の短編では収まりきらない大冒険を描いたスケールの大きい話になっている。なお、第5巻以降は原則として1年に1冊刊行されているが、4巻までは発行が巻数順になっていない。大長編初期の巻の発行日についてはこちらを参照されたい。
 短編の「ドラえもん」には、このてんコミ版に収録された45冊分の他に、膨大な量の単行本未収録作品が存在しており、これまでは一部作品が「藤子不二雄ランド」や「カラーコミックス」に収録されたのみだったが、まずは低学年誌に発表されたカラー作品が「カラー作品集」として単行本化され、更に2005年から2006年に渡って、てんコミ未収録作品をまとめた「ドラえもん」新単行本として

ドラえもん プラス 全5巻

が、刊行された。


てんとう虫コミックススペシャル(小学館) B6判・発売中

 「てんとう虫コミックス」に加えて、さらに単行本未収録の「ドラえもん」を読みたいという声に応えて、「てんとう虫コミックススペシャル」として「ドラえもんカラー作品集」が、刊行された。現在は

ドラえもんカラー作品集 全6巻

第5巻まで出ている。
 本シリーズの特徴は、何と言っても「初出時のカラー原稿をそのまま収録」「てんコミ未収録作品ばかりを収録」の2点だろう。FFランドやカラーコミックスからの再録がいくらかあるが、大部分の作品は単行本初収録。また、特に第5巻は「初期作品編」としてまとめられ、連載初期3年間ほどの作品が収録されている。

 また、「てんとう虫コミックススペシャル」では、他に

ドラえもん巻頭まんが作品集 上・下巻

も、出ている。これは、てんとう虫コミックス各巻の第1話をまとめて上下巻としたもので、収録内容に特筆すべき点はない。


藤子不二雄ランド(中央公論社) B6判・絶版

 「藤子不二雄ランド」(以下「FFランド」)は、「世界初の週刊セル画つき個人全集」というキャッチフレーズで1984年6月より刊行開始された藤子不二雄全集で、1991年に第I期全301巻が完結している。藤子全集なので、当然「ドラえもん」も刊行されている。このFFランド版は、現時点では小学館以外から出た唯一の「ドラえもん」の単行本。計54冊刊行されており、その内訳は

ドラえもん 第I期全45巻
映画原作 大長編ドラえもん 第I期全9巻

となる。
 まず、短編シリーズについては、大きな特徴として、てんとう虫コミックス未収録作品を多数収録している点があげられる。特に、第1巻には「未来の国からはるばると」の他に連載第1回作品を3本「特集・3種類のドラえもん」として収録しており、掲載誌ごとの違いを読み比べることができる。また、以前に「カラーコミックス」に収録されたが、その後てんコミには収録されずにいた作品の一部も収録された。ただし、第36巻以降にはてんコミ未収録作品は収録されていないので、これからFFランド版を集める場合は、とりあえず35巻までを探すといいだろう。
 他にFFランドの特徴としては、収録作品の最終ページに初出誌のデータがあり、発表された年代や雑誌がわかるのだが、残念な事に、このデータには間違いが多く、また一部データの抜けている作品もある。
 「映画原作 大長編ドラえもん」第I期全9巻は、作品本編はてんコミ「大長編ドラえもん」の9巻までとほぼ同じ内容。相違点としては「のび太の海底鬼岩城」に主題歌見開き2ページの追加があることと、扉ページが異なる作品があることくらい。また、FFランド版はてんコミとは違い、巻数順に発行された。
 残念な事に、FFランド全体が1995年3月に絶版となったため、現在新刊書店でこのFFランド版を入手することは事実上不可能。そればかりか、古書店でもFFランドの価格は「ドラえもん」に限らず上昇しており、入手が難しくなってきている。
 ただし、最近は「ぴっかぴかコミックス」や「ドラえもん カラー作品集」、そして「ドラえもん プラス」などで、てんコミ未収録作品がフォローされつつあるので、これらの単行本がさらに刊行されれば、FFランドを集めなくとも、多くの作品が容易に読めるようになる事が期待できる。


カラーコミックス(小学館) B5判・絶版

 カラーコミックス(以下「カラコミ)は「コロコロコミック特別編集」として、ドラえもんのアニメ放映が始まった1979年に刊行が開始された。低年齢の読者を対象としており、大きさは週刊少年誌サイズのB5判で巻頭第1話を含めた8ページが4色カラー、残りは2色と言う体裁。単行本と言うよりは、雑誌の増刊号と言った印象がある。
 カラコミの最大の特徴は、てんコミに未収録だった低学年向けのカラー作品が大量に収録された事。ただし、全体の9割以上を占める2色ページでは、4色原稿はトレスでの再録となってしまったために、「カラー」の名を冠している割にはトレスのページが多いのが残念ではある。
 カラコミで発行されたのは、

ドラえもん 全6巻
映画まんがドラえもん 全4冊

の、計10冊。残念なことに現在はすべて絶版だが、カラコミに収録された作品の多くは、近年になってカラー作品集およびぴっかぴかコミックスに再録されている。今後も、続刊でカラコミ収録作品が掘り起こされる事を期待したい。
 「映画まんが」の方は、てんコミの「大長編」と同じく劇場版の原作漫画だが、てんコミと違ってほぼコロコロコミック掲載時のまま収録されており、基本的に描き足しはない。「のび太の恐竜」などは本編が150ページほどしかなく、てんコミでの描き足しが非常に多いので、てんコミと内容を比較するのも面白い。なお、こちらは後半は1色印刷となっている。


藤子不二雄自選集(小学館) A5判・絶版

 「藤子不二雄自選集」は1981年4月より、全10巻が刊行された。その内訳は「ドラえもん」7冊、「オバケのQ太郎」2冊、「パーマン」1冊。当時としては珍しくハードカバーで出版された。そのうち「ドラえもん」7冊の内容は、以下の通り。

・1 ドラえもん SFの世界 1
・2 ドラえもん SFの世界 2
・3 ドラえもん ナンセンスの世界 1
・4 ドラえもん ナンセンスの世界 2
・5 ドラえもん 風刺の世界 1
・6 ドラえもん 風刺の世界 2
・7 ドラえもん 夢と冒険の世界

 この自選集では、「たとえ胃の中、水の中」「地球製造法」などいくつかの作品で、てんとう虫コミックス版と比べて若干の描き足しがあり、作者の作品へのこだわりを感じさせられる。ちなみにこの加筆版は、のちに「藤子不二雄ランド」版にも再録されている。


小学館コロコロ文庫(小学館) A6判・発売中

 漫画文庫ブームで、「ドラえもん」の文庫版も発売された。背表紙の色は「ドラえもんカラー」の青で統一されている。現在までに刊行されたのは、

ドラえもん テーマ別18冊
大長編ドラえもん 1〜17巻

の、計31冊。「テーマ別」の収録作品は、ほとんどがてんコミ「ドラえもん」1〜45巻からの再録だが、「ドラミ編」「スネ夫編」「ロボット編」には、てんコミ未収録作品が収録されている。また、全巻に登場人物紹介と解説が付いている。「大長編ドラえもん」も本編はてんコミと同じ内容だが、巻頭にカラー口絵が8ページ付いており、映画の内容や公開当時のポスターが紹介されている。
 「テーマ別」のカバー絵は、藤子・F先生存命中はご自身の手による描き下ろしイラストだったが、没後刊行された「爆笑編」以降は、藤子・F先生の絵を藤子プロの萩原伸一氏がトレスした絵が使用されている。また「大長編」のカバー絵は、刊行開始当初から藤子・F先生ではなく鈴木伸一氏が担当している。


藤子・F・不二雄自選集(小学館) 四六判・発売中

 以前に発行された「藤子不二雄自選集」のうち、「ドラえもん」を収録した7巻までを上・下巻2冊に再編集し、セミハードカバーで刊行したもの。ケース入り・鈴付きの8000部限定版と、ケース・鈴なしの通常版の2種類があり、限定版は予約分で売り切れになった。通常版は、現在でも入手可能。
 収録作品は以前の自選集と同じだが、今回は「藤子・F・不二雄まんがを語る」と題して、藤子・F先生ご自身の文章を、2冊合わせて18編収録している。てんコミを持っていても、F先生のファンであればこの文章だけで買う価値はあるだろう。


てんとう虫コミックスワイドスペシャル(小学館) A3判・発売中

 「てんとう虫コミックスワイドスペシャル」は、ドラえもん誕生30周年記念出版の一環として、弱視者に読みやすいマンガ単行本を出すというコンセプトで発行された「コミックス史上最大」の単行本。絵も活字も迫力満点の大きさ。発行されたのは、

ドラえもん傑作選
大長編ドラえもん のび太の恐竜

以上の2冊。特大サイズのため、定価も「傑作選」が1800円、「のび太の恐竜」が2800円(いずれも本体価格)と、かなり高くなっている。続刊の予定は今のところない。


コロコロ文庫デラックス(小学館) A6判・発売中

 「コロコロ文庫デラックス」は、「数々のドラえもんコミックスの中で最高のものをお届けする、ドラえもん熟成コミックス」として刊行されたものだが、内容的には以前から出ていた「小学館コロコロ文庫」版の再編集と言った感じで、巻ごとのテーマも似通ったものが多い。刊行されたのは、

ドラえもん 全10巻

以上10冊。単行本初収録作品は存在しないので、これまで刊行された単行本を揃えている人にとってはあまり意味のないシリーズだが、巻末の解説はこれまで「ドラえもん」と言う作品に様々な形で関わってきた人々が書き下ろしているので、そちらに興味があるなら買っておいていいかもしれない。


ぴっかぴかコミックス(小学館) A5判変形・発売中

 「ぴっかぴかコミックス」は、小学校低学年向けに「初めて読む」マンガ単行本と言う位置づけで刊行されている。300円という廉価で手軽な点は、昔の「カラーコミックス」を連想させられる。「ドラえもん」については

ドラえもん 1-16巻
カラー版 ドラえもん
ドラえもんスペシャル ドラミちゃん
カラー版 ドラえもん のび太の恐竜

以上が出ており、低学年向け作品中心に収録されている。
 「ドラミちゃん」を除いて、どの巻にもてんとう虫コミックス未収録作品が収録されている点は注目すべきところで、特に「ぴっかぴかコミックススペシャル」として刊行された「カラー版 ドラえもん」は、全編が単行本初収録のカラー作品より成る。また、同じくスペシャル扱いで出た「カラー版 ドラえもん のび太の恐竜」はカラーコミックスの復刻と言える内容で、てんコミとは一味違う「のび太の恐竜」が楽しめる。
 いずれも、これまでの単行本では読めなかった要素が含まれており、続刊が楽しみなシリーズだ。



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