映画「ぼく、桃太郎のなんなのさ」のDVDをレンタルで見ました。これは映画でも頭に「のび太」を冠した一連の作品に比べて地味な印象がありますが、なかなか面白かったです。「夢と冒険」というドラ映画のコンセプトは十分生きているし、のび太がドラえもんに桃太郎の話を説明しようとして「桃から生まれたきびだんご」と言ったり、大山さんの声で桃太郎の絵本を朗読したりするなど、なかなか細かいところもきいています。ちなみに主題歌はOPが「ぼくドラえもん」、EDが「青い空はポケットさ」(1、3番)で、「ドラえもんのうた」も作中で使われました。
しかしこの話には重大な疑問点があります。というのは、この話の舞台となったのは「今から642年前」「延元2年」と作中で言っていますが、「延元2年」とは西暦では1337年です。こうなると「鬼の正体は船が難破して漂流したオランダ人の船長」という設定はつじつまが合わなくなりますね。1337年はいわゆる大航海時代が始まるずっと前(コロンブスのアメリカ大陸到達は1492年、ヴァスコ・ダ・ガマのインド到達は1498年)で、この時期の日本近海にヨーロッパの船が来ているはずがありません。この船長は「方向オンチ」と言っていますが、この方向オンチぶりは響良牙も真っ青でしょう。第一、この時期にはまだオランダ(ネーデルラント)という国自体が存在していません。話の舞台を戦国時代から安土・桃山時代あたりにすればなんとかなったかもしれませんが、これだと「桃太郎」の話の成立時期と合わなくなるというわけで…。まさか「南海大冒険」に登場した海坊主(正式名称忘れた)が出てきて時空ごとワープしたというわけではないでしょうが。