2005年3月18日の放送をもって、芝山努チーフディレクター率いる旧スタッフ及び、ドラえもん役の大山のぶ代を初めとする旧キャストによる「ドラえもん」は、終わりを告げました。現在は、新スタッフ・キャストによる新生「ドラえもん」が、放送中です。いずれ、大山のぶ代版「ドラえもん」については、その26年間を総括したいと考えています。
それはいずれ行うとして、今回は大山版「ドラえもん」各話の尺、つまりそれぞれの話の長さを取り上げます。レギュラー放送と特番で尺が異なるのは当然ですが、それだけではなく、レギュラー放送も全て同じ長さではなく、時期によって尺が異なっているのです。
具体的には、
(1)6分27秒時代(1979年4月2日〜1981年9月23日・帯番組時代)
(2)10分50秒時代・その1(1981年10月2日〜1981年12月25日)
(3)8分57秒時代・その1(1982年1月8日〜1984年5月11日)
(4)10分50秒時代・その2(1984年5月18日〜1984年11月23日)
(5)12分43秒時代・その1(1984年11月30日〜1987年3月27日)
(6)10分50秒時代・その3(1987年4月10日〜1988年7月15日)
(7)12分43秒時代・その2(1988年7月22日〜1991年1月18日)
(8)10分50秒時代・その4(1991年4月2日〜1993年3月26日)
(9)10分50秒+8分57秒時代(1993年4月2日〜1993年6月18日)
(10)10分50秒時代・その5(1993年6月25日〜1993年10月1日)
(11)8分57秒時代・その2(1993年10月15日〜1998年6月26日)
(12)10分50秒時代・その6(1998年7月3日〜2005年3月11日)
以上のように分けられます。最初の6分27秒は帯番組時代で、放送が金曜に移ってからは8分57秒・10分50秒・12分43秒の3種類となります。なぜ、このように違いがあるかというと、新作+再放送のカップリング放送が行われていたからです。
現在の金曜19時に放映枠が移ってから(1981年10月2日以降)は、OP・ED・次回予告などを除いた本編の放送時間が21分40秒に固定され、これは大山版ドラの最後となる2005年3月11日の放送まで変わりませんでした。21分40秒を2で割ると、10分50秒。上であげた(2)の時代は新作2本立てだったので、単純に同じ尺の話2本としたのでしょう。
それ以外に8分57秒と12分43秒の作品があるのは、(3)の時期に帯番組時代の再放送2本+新作1本の3本立てで放送され、その時に作られた新作が8分57秒だったからです。日曜朝放映の時と同じ3本立てでも、新作の尺が帯番組時代より長くなっているのは、金曜に移って「ドラえもん音頭」等の穴埋めコーナーが無くなったためです。その後、この8分57秒作品が再放送された時の新作が、12分43秒。もうお気づきでしょうが、両方の時間を足すと21分40秒になります。
結局のところ、アニメ「ドラえもん」新作の尺は、再放送の尺に左右されてきたと言えるでしょう。たまに30分丸々新作の時期もありましたが、先にも述べたように、この場合は単純に10分50秒作品の2本立てになっています。唯一の例外は(9)の時期で、10分50秒と8分57秒作品1本ずつに加えて「ドラえもんめいさく劇場」1分50秒、OP前の「テレビ化15周年」の表示3秒で、合計21分40秒としていました。このような変則的な場合でも、これまでに作られた10分50秒、8分57秒と言う尺を守っている点は、興味深いです。
このように、各話の尺には違いがある訳ですが、このために、原作に加えられるアレンジの度合いも変わってきている面が見られます。
レギュラーでは最も長い12分43秒の時であっても、10ページ以上の比較的長い原作だけでなく、7ページ程度の短い原作も多数アニメ化されており、そのような場合は、アニメ化に当たって大幅にオリジナルのシーンや展開が加えられています。
12分43秒時代の作品は「21世紀テレビ文庫」のシリーズでビデオ化されていますので、「ドラえもん カラー作品集」に収録されているような原作が短いエピソードについて、アニメと原作を比較してみると面白いでしょう。 (2005.5.5)