前回から、かなり間があいてしまいました。第4回のテーマは「クリスマス」です。本コーナーでは初めて、更新時期に合わせたテーマを選んでみました。「クリスマス」は、子供にとってはパーディーやプレゼントなど、楽しいことがたくさんある一大イベントです。それ故に学年誌掲載の「ドラえもん」では、12月号の定番ネタとしてよく描かれました。それらの作品を一挙にご紹介します。
サブタイトル | 巻数 | 初出 | 作品内容 |
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日づけ変更カレンダー | 3 | 三・73・12 | まだ12月22日なのに、クリスマスプレゼントのローラースケートが待ちきれないのび太。そこで、「日づけ変更カレンダー」を使って25日にしてしまうが。 |
エスパーぼうし | 7 | 三・70・12 | クリスマスパーティーのかくし芸でみんなをアッと言わせたいのび太。ドラえもんから、三種類の超能力を使えるようになる「エスパーぼうし」を借りて練習を始めるが。 |
マッチ売りのドラえもん | 8 | 二・74・12 | しずちゃんのうちで開催されるクリスマスパーティーのかくし芸をどうするか悩むのび太。そこでドラえもんが出したのは「ドリームマッチ」だった。 |
ようろうおつまみ | 10 | 三・75・12 | お酒が大好きなのに、あまり飲ませてもらえないのび太のパパ。のび太は、たまにはたっぷり飲ませてあげたいと、クリスマスプレゼントとしてパパにお酒をプレゼントしようとしたが。 |
サンタえんとつ | 19 | 一・77・12 | クリスマスプレゼントにテレビゲームがほしいのび太だが、サンタからの手紙には、プレゼントは「えらいひとのはなし」だと書いてあった。のび太は、ドラえもんに泣きつくが。 |
サンタメール | 21 | 五・79・12 | パパから直接クリスマスプレゼントを貰い、「ゆめのない世の中になったなあ。」と嘆くのび太。サンタが来るまで寝ないと頑張っていた頃の思いをもう一度味わいたいと言うのび太に、ドラが出したのは「サンタメール」だった。 |
シテクレジットカード | 34 | 四・84・12 | 両親がクリスマスプレゼントをラジコンから「学習いろはかるた」に変えようと相談しているのを聞いたのび太。何とかラジコンがほしいのび太に、ドラが出した道具は、書き込んだ事を何でも、渡した相手にさせることができる「シテクレジットカード」だった。 |
タイムワープリール | 45 | 四・85・12 | クリスマスプレゼントが待ち遠しいのび太。時間をすっとばす道具「タイムワープリール」を使って夜にワープするが、プレゼントの中身は期待はずれ。来年のプレゼントが気になり、さらにタイムワープをするが。 |
ミニサンタ | +4 | 一・79・1 | クリスマスに、ラジコンひこうきが欲しいのび太。ドラえもんに頼むが、ドラは「あさ、まくらもとにおいてあるのがたのしいんだ」と言い、暖炉と煙突が組み合わさった形の道具「ミニサンタ」を出した。欲しいものを紙に書いて、煙突に入れて時間を合わせると、その時間にミニサンタが出てきて、希望したプレゼントをくれるのだ。 |
中身ポン | TCS2 | 二・77・12 | スネ夫の家のクリスマスパーティーで、いいプレゼントを当てようと、袋の中身を当てる練習をするのび太。そこで、ドラが出した道具は、ふりかけると中身だけが出てくる「中身ポン」だった。 |
クリスマスツリーの種 | TCS5 | 一・71・12 | ドラえもんが、2階の窓から何かの種を落とした。慌てて探しに行くが、それをスネ夫が拾って持っていってしまう。 |
サンキューバッジ | PC12 | 三・76・12 | のび太が目覚めると、枕元にはクリスマスプレゼント。喜んで中身を見ると、学習ゲーム「一流大学」が入っていた。残念がるのび太を見て、ドラは「感謝の気持ちが少ない」と、「サンキューバッジ」を出した。 |
クリスマスを扱った話は以上ですが、冒頭で書いた通り、ほとんどが12月号の掲載です。12月号は11月上旬発売なので、本当は時期的に早すぎるのですが。
これらの作品を詳しく見てみると、「サンタメール」「サンタえんとつ」など、クリスマスプレゼントの話と、「エスパーぼうし」「マッチ売りのドラえもん」のような、クリスマスパーティーを扱った話の2種類に大別されます。作品数としては、前者が圧倒的に多いですね。後者に近い内容の話としては、「メロディーガス」がありますが、これはクリスマスパーティーではなく忘年会でした。
これだけ、クリスマスプレゼントの話が多いと言う事は、やはりプレゼントが小学生にとっての大きな関心事だからでしょう。しかし、一年生向けの「サンタえんとつ」においても、サンタクロース=パパであることを作中で明かしてしまっているあたり、F先生の現実的な視点が垣間見えます。
個人的には、好きなプレゼントを貰うことができる道具が、うらやましいですね。サンタメールはきちんと代金を支払っているのですが、サンタえんとつは完全にタダでプレゼントを貰っているようなので、昔から子供心にも「お金は払わなくていいのだろうか」と思っていました。このような話が許されるのも、「クリスマス」が子供にとっての一大イベントであるが故なのでしょう。
以上、「クリスマス」をテーマに扱った話は、全12作品。実は、もっとたくさんあるかと思っていたのですが、予想よりは少ない作品数でした。
よく、「「ドラえもん」は夢のある漫画だ」と言われますが、こうして一連のクリスマス物を読んでいけば、夢の世界だけではなく、「サンタメール」で苦労してプレゼントを配るのび太や、何とか教育的なプレゼントをのび太に贈ろうとする両親など、現実をもしっかりと描いている作品だと言う事がわかります。
しかし、その「現実」に絡むドラえもんの道具は、明らかに「夢」の世界の産物であり、「ドラえもん」は、夢と現実がほどよく混ぜられた作品となっていると言えましょう。単なる夢物語ではないからこそ「ドラえもん」は面白いのだと思います。