ドラちゃんのおへや

のび太の名言集

第七章 のび太の名場面

 これまで、六章に分けてのび太の様々な発言を紹介してきたが、内容によって分類してきたため、第六章までではテーマに合わなかったために紹介できていない発言も、まだまだ残っている。この第七章では、そのような「残された名言」を集めて、一挙にご紹介する。

四歳と四年じゃ、たった一字のちがいじゃないか!  15巻「人生やりなおし機」

 確かに、のび太の言うとおりだ。問題は、その一字の違いで大違いになってしまう点にあるのだが。しかし、この発言から「頭の中みは、今のまんまで、四歳にもどりたい」へとつながるのび太の発想力には、実に非凡な物がある。

そのコッカイとかいうやつ、ぶんなぐってやりたい!  15巻「ポータブル国会」

 のび太の強烈な反権力発言。まあ、実際には「国会」が何であるのか分かっていなかったと思われるが、だとしても、現在の日本の政治の問題点を鋭く付いた発言と言えなくもない。そこで、ドラが出したのが「ポータブル国会」なのだが、実際に法律を好きに決められる道具が存在する未来世界では、果たして政治はどうなっているのだろう。

テウチ? そばかうどん?  24巻「二十世紀のおとのさま」

 小学四年生とすれば、のび太が「手打ち」の意味を知らなくても不思議はないが、のび太のイメージする「テウチ」と、実際の「手打ち」のイメージのあまりのギャップのために、印象に残る発言。その後の「首をちょんぎること」「なんだ、そんなことか」→「ええっ!?」のやりとりも、印象深い。

わかった! そのぬすんだやつが犯人だ  +2巻「バッジどろぼう」

 のび太の迷推理。たしかに、犯人をズバリと言い当てているのだが、最大の問題点は、人物の特定に至っていない点だろう。自分では鋭い指摘をしていると信じている、のび太の表情が素晴らしい。

あ、おもてをドラやきが通っていった  TCS4巻「乗り物アクセサリー」

 ドラを見事にだました、のび太の嘘。この嘘が成功したのは、大げさなそぶりを見せず、窓の外を見て何気なく言った一言だったからだろう。それで、ついついドラもつられてしまったと思われる。「ドラやきが落ちている」などと言った現実的な内容ではなく「通っていった」と言うのが、いかにものび太らしい。

気に入らないやつは死刑だ  未収録「のび太王国誕生」

 ドラの道具「王国シールセット」で国王となったのび太が発した言葉。てんコミ26巻「のび太の地底国」でも首相として独裁政治を行ってはいたが、さすがに「死刑」までは言い出さなかった。その点で、のび太の進歩の無さと、権力を持った人間の恐ろしさ・愚かさがよく分かる発言だ。

なんでもいいからばらばらにしたいぞ  未収録「分かいドライバー」

 なんでもバラバラに分解できる道具「分かいドライバー」を使って、物を分解する快感にとりつかれたのび太の発言。上の「死刑」に通じる、破壊的衝動を感じさせられる一言だ。「分かいドライバー」は、この発言のみならず、迷場面・迷セリフが多いので、普通の「ドラえもん」では物足りなくなったという方にはぜひご覧いただきたい。詳しくはこちら

この快感をぜひしずちゃんに  未収録「逆重力ベルト」

 このセリフだけを抜き出すと、非常に誤解されそうな発言だが、べつにいやらしい意味ではない。ドラの道具「逆重力ベルト」で一瞬で空の上に舞い上がる楽しさを知ったのび太が、しずちゃんにも遊ばせてあげようと思った上での発言だ。ただ、「人間製造機」の「ふたりで、いっしょに作らない? 赤ちゃん!!」のように、意識せずにとんでもない発言をしてしまうのものび太の特徴なので、あえてここで取り上げてみた次第。