テレビアニメ 旧ドラえもん 大研究

 ストーリー紹介 

 この「アニメ 旧ドラえもん 大研究」を公開して以来、実際に旧ドラをご覧になっていた方々から、各話のストーリーに関する情報を、たくさん頂きました。ここでは、それらを一挙にご紹介します。当時の雰囲気が出来るだけ伝わるようにと考えて、基本的にお寄せいただいた情報をそのまま掲載(紫色の文字部分)させていただきました。


[目次(情報提供者別)]

高田道場さん(「ねずみに弱いねこもあるの巻」)
ゾーンファイターさん(「男は力で勝負するの巻」)
荻原さん(「出た!! ドラえもんの巻」ほか5話)
通りすがりの箱庭村民さん(「のび太は雨男の巻」ほか4話)
オダさん(「自分のかげをつかまえろの巻」)
真道寺軍さん(「ガチャ子登場の巻」)
植田禎明さん(「くるった腹時計の巻」)
numさん(「宇宙飛行士になりたいの巻」ほか2話)
山本 登さん(「ウルトラミキサーの巻」ほか3話)
三浦 郷さん(「ぼくに清き一票をの巻」)
Yuさん(「クイック・スロー大作戦の巻」)
Junさん、Akanさん、ぺぇさん、がちゃこさん(「さようならドラえもんの巻」)


ねずみに弱いねこもあるの巻

(1973年4月22日放送)
 のび太の家の中でおおねずみが大暴れします。
 ねずみが大嫌いなドラえもんはもちろん、台所でも暴れたりするのでママも大弱りです。
 そこでドラえもんとのび太がおおねずみ退治を決意します。
 スモールライトで小さくなって、おもちゃの戦車に乗り込んで退治しようというのです。
 早速、ねずみの住みかとなっている縁の下にのりこみますが、結局おおねずみは退治できず、襲われたドラえもんとのび太は這々の体で逃げ帰ります。
 そうこうしていると、ママがねずみを捕まえたというのです。それも、思ってたより小さかったと。
 どうやって捕まえたのかと聞くと、ママは「縁の下の潜り込んだらちょうど懐中電灯があったのよ」。と懐中電灯を出すと、「あっ、ドラえもんのスモールライトだ」それはドラえもん達が逃げる時落としたスモールライトだったのです。
 ママはそれでおおねずみを(偶然)小さくして、捕まえていたのです。

 細かいところに違いはあるかもしれませんがこんな話だったと思います。
 スモールライトで小さくなり、戦車に乗り込むから後半は大筋に間違いはないと思います。

(以上、高田道場さんのメールより)

*     *     *

 以上は、2〜3歳頃に旧ドラをご覧になっていた高田道場さんから頂いた情報です。本話の原作は単行本未収録ですが、「ドラえ本3」で「ねずみこわ〜い」と題して復刻されているので、比較的容易に読めます。
 未収録とは言え、スモールライトが初登場(まだ名前は出ていない)して、さらにドラえもんのねずみ嫌いが初めて判明すると言う、かなり重要なエピソードですので、旧ドラで第4回と言うごく初期に放映された事も頷けます。ただし、内容はかなりアレンジされていたようで、旧ドラは初めから原作とはひと味違った路線を目指していた事が推察できます。
 「ドラえ本3」をお読みでない方のために、原作とアニメ版の違いについて簡単に説明しておきます。原作ではドラえもんとのび太の二人だけでねずみをやっつけており、ママがスモールライトを使って云々…と言う話以降は全てアニメオリジナルの展開です。
 このように原作に改変を加えたため、話に矛盾が生じました。ママがスモールライトを使っていたのに、いつの間にかドラえもんとのび太が元の大きさに戻っているのです。この点をどう処理したのか、気になるところです。


男は力で勝負するの巻

(1973年6月17日放送)
<導入>
のび太、しずかちゃん、スネ夫、ジャイアンが
いつもの空き地に集まって父親の自慢をしている。

スネ夫は、うちのパパは分厚い木の板を簡単に割ることが できると自慢する。
これを受けてムキになったのび太、うちのパパは石をゲンコツで割ると いってしまう。
そしてジャイアンは。あれだよといって土管を指差す。
それはすごいといって感心する一同。
そして、それが本当かどうか一同そろってそれぞれの家に
確認にいくこととなる。

<のび太の家-ソノウソホント登場>
のび太はパパにこの石を割ってくれとパパに頼む。
しかし、当然ながらパパはとんでもないといって逃げ出す。
ぼやく一同。
そしていつもの通りドラえもんに泣き付いて、ソノウソホントを
出してもらう。
それを使ってパパに石を割らせることに成功するのび太。
すごいやとなる一同。

<スネ夫の家-一刀両断>
今度はスネ夫の家。
パパにこの板を割ってくれと頼むスネ夫。
しかし、こんな分厚い板はとても無理だと尻込みされてしまう。
またもやぼやく一同。あせってどうしても、と哀願するスネ夫。
そこへ騒ぎを聞きつけた母親がやってくる。
事情を聞いて、情けないことをいうな、私がやる(!)といい出す。
そして、キェーッという叫び声をあげながら、仮面ライダーのように
ジャンプキックで板を真っ二つにしてしまう(!!)。
すごいというより、唖然としてしまう一同。

<そしてジャイアン-夕日を背に受けて>
次はジャイアン、ということだが、夕方に親父を連れてくるという。
(ちょっと弱気?よくおぼえていない)

少し時間が流れて夕方。
空き地の土管の前で待っている4人(含ドラえもん)の前に
夕日をバックにして2つのシルエットがあらわれた。
同じ体型をした、大柄な影と小柄な影。
やがてその姿がはっきりすると・・・大柄の方がジャイアンだった(!!!)。
空手着まで着て、土管を割ろうと大張り切りの親父に、
ジャイアンはあんまり無理するなと超弱気。
その言葉を振り切って親父さんは土管をたたきはじめる。
空手で叩き割る、というよりは両腕でドラムをたたいているような
やけくその状態(本人は一生懸命のようだ)。当然割れるはずもない。
その姿があまりにも哀愁漂っていたためか、誰も笑ったりできず、
逆に心配が募ってくる。
それはのび太も同じらしく、ドラえもんにソノウソホントを使って
割れるようにしてくれと頼む。
承知して、土管の影でソノウソホントを出そうとするが、
慌てているらしくなかなか出てこない。
ポケットの中身をぶちまけながら探すドラえもん。
そうこうしているうちに哀愁の度合いを高める親父さん。
焦る一同。必死で止めようとするジャイアン。慌てるドラえもん。
やがて、ようやくソノウソホントが出てくる。
その効果により土管は木っ端微塵に砕ける。
驚く一同。そして男を上げた親父さんであった。

<エピローグ-拳士ドラえもん>
一件落着のムードとなったが、誰か(失念)がジャイアンの親父と違って
ドラえもんは道具ばかり頼っている、みたいな発言が飛び出す。
怒ったドラえもん、空き地にある鉄塔(なぜある?)を折ってやると
ソノウソホントをつけてジャンプをする。
(まるで空を飛んでいるかのような大ジャンプ!)
しかし、ジャンプの途中でソノウソホントはポロリと外れ、
鉄塔に手が当たって全身(痛みでしびれて)ビリビリとなる。
それを見て一同楽しそうに笑う。



(以上、ゾーンファイターさんのメールより)

*     *     *

 以上、ゾーンファイターさんから頂いたメールです。なお、ゾーンファイターさんから「内容の大筋に間違いはないとは思いますが、小学校入学前の記憶なので、細部が大きく異なったり、エピソードの順番が入れ替わったりしている可能性が高いです。その辺を理解した上でご覧ください」とのコメントをいただいておりますので、ご承知おき下さい。
 この話ですが、原作と同じ展開はのび太のパパが石を割るところまでで、その後は全く異なります。原作では、ジャイアンの父ちゃんはジャイアンに似た外見であり、やる気満々でのび太のパパと相撲を取って負けます。そして、のび太が更に調子に乗って「うちのとうさんは、スーパーダンなんだ」と言い出し、パパはスーパーダンの格好になって空を飛んでしまい、のび太が「さいごに、もうひとつ。とうさんは、自転車と、望遠鏡を買ってくる」と言うと、パパは本当に自転車と望遠鏡を買ってきてのび太が喜ぶ、と言う展開です。それに比べて、旧ドラではジャイアンの父ちゃんについて大胆にアレンジされているのがわかります。原作とは、別人としか思えません。
 なお、同じ日に放映された「大リーグの赤バットの巻」は、「振れば必ずボールが当たるというバットの話で、ドラえもんが(多分どらやきかなにかにつられて)野球チームのメンバーにバットを貸して、みんながホームランを連発する」という話だったそうです。原作に関しては、単行本未収録作品にもそれらしい話は見当たりません(無理に解釈すると「やきゅうそうどう」あたり?)ので、こちらはアニメオリジナル作品の可能性が高いと考えられます。

追記
 本話の情報を、山本 登さん・真道寺軍さんからもいただきました。山本さんによると、

夕日を背に、ジャイアンと一緒に現れたパパは、
息子のためにと、出来もしないのに、
素手が腫上がるほど土管をたたく。
見るに見かねて、ジャイアンが泣きながら、
「父ちゃん、もういい、もういいよ!!」
って言っていたような・・・

と言う場面があったとの事です。
 また、真道寺軍さんのご記憶では、ジャイアンの父ちゃんは「「わすれトンカチ」の記憶喪失男のような、しょぼくれたダメ親父」だったそうです。やはり、原作の父ちゃんとは全く異なるキャラだったようですね。

さらに追記
 その後、本話を実際に観る機会がありました。ここで紹介させていただいた内容と、ほぼ同じであり、皆さんの記憶力には驚かされました。また、このエピソードは、ご覧になっていた方の記憶にはっきり残るくらい、印象的だったのでしょう。


出た!! ドラえもんの巻(前半部分)

(1973年4月1日放送)
 記念すべき第一回目の冒頭は、朝のび太が「大変だ!寝坊した!」(「遅刻 だ!」だったかも)と布団から飛び起きて、同時にのび太の声で、「ぼく野比のび 太は、今朝も早起きをした。」とナレーションがはいりました。その後、慌てて 朝食をかっこみ、学校に急いだものの、結局遅刻をしてしまって廊下に立たされ、野 球でエラーをしたためジャイアン達に責められて、散々な一日でした。
 その日、机の引出しから現われたドラえもんとセワシくんに、のび太の一日の出来 事を正確に指摘されました。また、セワシくんが「君の孫の孫だよ。」と自分 のことを説明する際、「例えば君が大きくなって、結婚して、子供を産む。その 子供が大きくなって、結婚して、子供を産む。.....(以下中略).....その子供が 大きくなって、結婚して、子供を産む。.....それがこのぼくってわけさ!」と いうことを図解(アニメ)で説明していましたが、そこに出た子供達がみんな男の子 ばかりでした。

*     *     *

のろいカメラの巻

(1973年5月6日放送)
 ある日、ドラえもんがもの凄い怒りに燃えた形相で、のび太の部屋に駆け込んで来 ました。どうやら外でスネ夫と何かトラブルがあったようです。怒り狂ったドラ えもんは、ポケットからカメラを取り出して、「これでスネ夫の奴に復讐してやる !」と言って、外に飛び出して行きました。訳がわからず、ドラの後を追うのび 太。やがてドラは、道端でしずちゃんと談笑しているスネ夫を発見しました。そ してスネ夫に焦点を合わせて、シャッターを押そうとしました。「写真を撮ってく れるのか?カッコよく撮ってくれよ。」とスネ夫はニタつきます。「恐ろしい ......。やっぱりできない!」と言って、ドラは走り去って行きました。そして カメラをゴミ捨て場に捨てて行きました。
 その様子を不審に思ったのび太は、カメラを拾ってこっそりドラを写しました。 するとカメラの中から、ドラえもんそっくりの小さな人形が出てきました。面白い と思ったのび太は、家に帰りパパとママを写して人形を出してみました。でも、そ れらがあまりかわいい人形ではなかった為、のび太は丁度通りがかったB子(注: スネ夫の家の女中、名前不明のため仮名)に人形を、全部あげてしまいました。
 部屋に帰ったのび太を見たドラえもんは、のび太があのカメラを持っているのを見 て、大変驚きました。「こ、このカメラを使ったのか!なんて恐ろしい事を.... !」しかしのび太は、何だか訳がわかりません。そこでドラは、そのカメラでの び太を写してのび太の人形を出しました。「うん、人形が出てくるのは知ってる よ。」そしてドラは、のび太の人形に、「教えてやる。この人形の腕を、チクン チクンチクン!それから胸も、チクンチクンチクン!おまけに頭を、ゴツンゴツ ンゴツン!」そう言いながら、ドラは人形の腕や胸をペン先で突付いたり、頭をゲ ンコで殴ったりしました。するとのび太も、人形と同じ所が痛くなってのた打ち回 りました。「どうだ!このカメラの恐ろしさがわかったか!」事の重大さを 悟ったのび太は、「大変だ!ドラえもんとパパとママの人形をB子にあげちゃった んだ!」
 場面はスネ夫の家の庭に移りました。B子はのび太にもらった三体の人形を、芝 生でママゴトをしている二人の小さな女の子にやってしまいました。(この二人の 女の子が誰なのかは、記憶が定かではありません。おそらくスネ夫の親戚なのかも 知れません)
 二人は、人形が全然かわいくないので嬉しくありません。仕方なく、それらでお 医者さんごっこを始めました。最初にママの人形に、「まあ大変、お熱が百度もあ ります。」そこでもう一人の子が台所に行って、ママの人形を冷凍室に入れてしま いました。するとのび太の家では、急にママが寒がりはじめました。続いてパパ の人形に、「まあ大変、お熱が全然ありましぇん。」そうして人形をガスレンジの 上に置いて、火をつけました。今度はパパが汗をかいて、暑がりはじめました。 この様子を見たドラとのび太は、危機感を感じて、ヘリトンボで人形を探しに行きま した。
 いよいよドラ人形の番になりました。「まあ、これは大変!早速手術しましょ う。」そう言って女の子達は、本物の包丁とまな板で、ドラ人形の首を切断しよう とします。同時にドラは、空中で首をおさえて苦しみもがき始めました。「なか なか切れましぇんね....手術は失敗でしゅ、死にました。エーン、エーン....」 丁度そこにスネ夫が来て、ドラの人形を見て面白い事を考えつきました。「人が死 んだら、どうするか知ってるかい?」  やっと首の苦しみから解放されたドラは、今度は「ギャー!熱い!」と叫びな がら、空中でもがき苦しみ始めました。スネ夫が火葬に見立てて、ドラ人形をたき 火の中に放り込んだのです。たき火の所で「ナンマイダ...」とお経を唱えてい るスネ夫達のそばに、「ギャーッ!熱いっ!やめろーっ!」と叫びながら、ド ラが落下してきました。
 のたうち回るドラを見て、スネ夫はこの人形の秘密を知りました。そして面白 がったスネ夫は、ドラ人形をけまりのように何度もけりあげました。ドラは人形と 同じように、回転しながら空中を何度も上がったり下がったりしました。それを見 ていたお手伝いB子も、面白がってドラ人形をバットで場外へかっ飛ばしました。 人形と共にふっ飛んでいくドラえもん。その間にのび太は、パパとママの人形を助 け出しました。散々な目にあったドラえもんは、スネ夫とB子に対して怒りに燃え ました。
 後日、スネ夫とB子が通りを歩いていると、突然B子のスカートがマリリン・モン ローのように風でめくれあがり、またスネ夫のズボンからは、あたかもおもらしのよ うに水が溢れ出しました。あわてて逃げてゆくスネ夫とB子。のび太の部屋で、 のび太がB子の人形に扇風機をあてて、そしてドラえもんがスネ夫の人形にジョウロ とタライで仕返しをしていたのでした。「これでおあいこだね、ドラえもん。」

*     *     *

決闘! のび太とジャイアンの巻

(1973年5月13日放送)
 ジャイアンが、柔道を習い始めたということをえらく自慢していました。それに 対するのび太の発言が気に食わなかったのかどうか、ジャイアンはのび太に、強制的 に決闘を申し込みました(経緯は憶えていません)。全然自信のないのび太は、 ドラえもんに泣きつきました。ところがドラはドラで、おおきなノラ (?) ネコと のトラブルを抱えていました。
 ドラえもんは、ジャイアンが通っている道場に偵察に行きました。窓から覗く と、ジャイアンが幼稚園くらいの男の子と手合せしていました。 ジャイアンはその男の子に、投げ飛ばされていました。
 「お兄ちゃん、まだまだでしゅね。もう一度かかってらっしゃい。」とその子 は、人さし指を動かしてジャイアンを挑発しました。ジャイアンは何度も男の子に 飛びかかりましたが、その度に投げ飛ばされました。
 それを見ていたドラえもんは、「ジャイアンたら、あの子にはかなわないらしい な」と言って、ポケットからカメラを取り出し(のろいカメラではない)、その男 の子を写しました。ジャイアンは帰り道、「なんでぇ、あんなチビに負けるなんて なぁ.....ま、いいや。のび太にゃ勝てる!」とブツクサ言いながら帰って行き ました。
 (さて、この話でドラえもんがカメラ以外でどんな道具を使ったのか、申し訳あり ませんが全く憶えていません。おそらく、自信がつく薬か何かではないかと思いま す)
 いよいよ決闘の刻がせまってきました。辺りはすっかり日が落ちています。場 所は草木が風になびく、荒野のようなところです。 のび太は柔道着姿で、不安で落ち着かない様子で待っていました。ドラはあのカメ ラから、さっきの男の子の等身大のダミーを出しました。 「ジャイアンが来るまで、これで練習してるといいよ。」そしてドラも、写してお いた対戦相手のネコのダミーを出しました。 のび太とドラは、各々ダミー相手に乱取りをしていました。
 やがてジャイアンも、柔道着姿で現れました。そして自信たっぷりの表情で、の び太に近づきました。すると、のび太があの男の子を相手にしていることに気付き ました。ぐったりした男の子のダミーを見て、ジャイアンは大変驚きました。
 「こ、このチビおまえがやっつけたのか?」
 「そ、そうさ!」
 ジャイアンは恐れをなして、のび太に背を向けて逃げ出しました。のび太はすか さず後を追い、ジャイアンを捕まえると、勢いで投げ飛ばして勝ってしまいました。 それを見ていたドラえもんは自信をつけて、本物のノラネコに挑みますが、ドラの 方はネコに負かされてしまうといった話でした。

*     *     *

おしゃべりくちべにの巻

(1973年6月24日放送)
 のび太はしずかちゃんに対して、なかなか気のきいた言葉が言えなくて、気まずい 感じになってしまいました。そこでドラえもんに相談したところ、ドラえもんはポ ケットから2本の口紅を出しました。そして鏡に向かいながら、そのうちの1本を 自分の口に塗りました。
 のび太はドラの顔を見て、あまりのおかしさに、「何だい、口紅なんかつけちゃっ て....」と笑いながら言いました。するとドラは、目は無表情のまま、「うるせ えっ!このメガネザルッ!」と怒鳴りつけました。(もっと過激な言い方だっ たかも知れません。ちなみに声は富田耕生でした)怒ったのび太に、ドラは口紅 をふきとり(悪口くちべに)と(おせじくちべに)の説明をしました。とくに(悪 口くちべに)は、ほっとくとアゴがはずれるまで、悪口が止まらなくなるとのことで した。
 のび太は最初に(悪口くちべに)をつけて、ドラと一緒に外に行きました。そし て途中でスネ夫に対して悪口を浴びせました。(すみません。ここまで書いてき て、冒頭がしずかちゃんとのエピソードだったのか、スネ夫にイヤミを言われたの か、思い出せません。或いはその両方だったかも知れません)
 言い負かされた スネ夫は、くやしくて自分のママに言いつけました。のび太とドラは、今度は(お せじくちべに)に塗り直して、しずかちゃんを誉めに行きました。
 のび太の家では、ドラ達が忘れて行った(悪口くちべに)をママが見つけて、自分 の唇につけてしまいました。丁度そこへ、玄関のチャイムが鳴りました。「あ ら、お客様かしら。」とのびママは玄関に向かいました。スネママがスネ夫と一 緒に、怒鳴り込んで来たのでした。(チャイムではなく、「ごめんください」だっ たかな?)
 玄関のドアを開けたのびママの第一声は、「何だよ、てめえら何しに来た?ドた まカチ割られないうちに、とっとと帰んな!」その言葉に激昂したスネママは、激 しく応酬しました。やがてのびママとスネママとの、顔をつき合わせての悪口大バ トルが始まりました。
 しずかちゃんの家から戻ったドラとのび太は、家のまわりにヤジ馬が集まっている のを見つけました。まだバトルは続いています。のび太とドラは、ママが(悪口 くちべに)をつけてしまったことに気付きました。もう止める事はできないので、 二人はママを応援することにしました。
 やがて勝負はスネママがダウンして、救急車で運ばれて行くことによって終わりま した。「おめでとう、ママ!勝ったんだよ。」二人はママに駆け寄りました。 しかしママは、「あ、あら、止まらないわ!」と困った表情のまま、悪口をマシ ンガンの如く言い続けました。ドラとのび太は、たまらずに耳をふさぎました。

*     *     *

成績表はいやだなあの巻

(1973年7月29日放送)
 今日は、一学期の終業日です。のび太のクラスでは、先生が成績表をくばってい ます。ジャイアンとスネ夫、それにのび太は落ち着かない様子です。自分達の成 績が、どうせ悪いだろうということがわかっているからです。案の定、ジャイアン とスネ夫が一緒に呼ばれて、「バッカモン!何だこの成績は!先生はあきれて、 何も言う事はない!」と先生に怒鳴られました。次にしずかちゃんが呼ばれて、 先生はにこやかに、「よくがんばったね、先生はもう、何も言う事はないよ。」と 優しく言いました。そしてのび太の時になると、先生はジャイアンやスネ夫の時よ りも、さらにキツく怒鳴りつけました。
 校門の外では、ママに様子を見てくるように言われたドラえもんが、電柱のかげに 隠れています。ママもパパも、のび太の成績が悪いだろうと決め付けていて、のび 太が成績表を隠したりしないように見張っているよう、ドラえもんに言ったのです。 憂鬱な表情でジャイアンとスネ夫が出てきました。校門の所には、きびしい表情 をしたスネママと、ジャイアンの父ちゃんが立っていました。そして二人に成績表 を見せろと言いました。躊躇する二人から奪い取った成績表は、それぞれ1と2ば かりが並んでいました。(ジャイアンとスネ夫、それぞれ別の科目が)怒ったス ネママと父ちゃんは、こづかいぬきだの、他にこんな成績とる子はいないだろう等の 言葉を(内容ははっきりおぼえていません、適当です)二人にあびせました。「そ んなことないよ。オレ達よりヒドイやつも、きっといるよ。」とジャイアン達は 反論しました。「いいザマス。それなら他の子の成績表も見てみるザマス!」
 ちょうどそこへ、しずかちゃんが校門から出てきました。「お嬢ちゃん、悪いけ どちょっと成績表を見せてくれるザマスか?」(スネママはこの時、しずかちゃん の名前を知らなかったのだろうか?長年の疑問です)「ええ、いいですよ。」 としずかちゃんが渡した成績表は、体育の4以外は全部5ばかりでした。あわてた ジャイアンとスネ夫は、うつむいて歩いてたのび太を追いかけて、ランドセルから成 績表をムリヤリ奪い取りました。そして見ると、オール1でした。それを見たス ネママと父ちゃんは、まあ今回は許してやろうという気になって、帰ることにしまし た。
 ジャイアンとスネ夫は、悪い事を思いつき、のび太に成績表をランドセルの中に返 すフリをして、オール1が見えるようにはりつけました。それに気づかず、のび太 は再びうつむいてトボトボと歩き始めました。のび太のオール1は、町中にさらさ れました。みんなそれを見て笑っています。しかし、のび太はそれさえも気づか ずに、相変わらずトボトボと歩いています。
 物陰に隠れて見ていたドラえもんは、さすがに気の毒に思い、数字銃(名前がわか りません)を取り出して、1のところに5の数字を撃ちこんで、オール5に変えてし まいました。
 その時、のび太の背後から、しずかちゃんが声をかけました。「のび太さん、す ごいわオール5なんて!私なんか体育だけ4だったのよ!」のび太も成績がオー ル1だったのは、気のせいだったんだと思ってしまい、意気揚揚と帰って行きまし た。
 のび太の家では、パパとママが怖い顔をして、和室で正座して待っていました。 そしてのび太に成績表を見せるよう言いました。のび太は二人の前に自信満々で座 りました。そして大威張りで成績表を渡しました。
 ドラえもんは、あんまりのび太が調子に乗っているので、襖のかげから再び数字銃 で成績表をオール1に戻してしまいました。パパとママはオール1の成績表を見 て、のび太に大目玉をくらわせました。

追記
 実は、前々回に書きました『成績表はいやだなあの巻』の中で、間違っているところ がある事に気付きました。
 ジャイアン達が成績表を奪ったのは、のび太からではなく、ドラえもんからでした。 ドラえもんが困った表情で、のび太の成績表を見ながら歩いていたところから奪っ たのです。
 もしかしたら、成績表を受け取る際に先生から怒鳴られたのも、のび太の代理でド ラえもんだったかもしれません。(だとすると、のび太はその間どうしていたのか という疑問が残りますが、そこは思い出せません。)だから、オール1の成績表 をスネママやジャイアンの父ちゃんに見られた事は、のび太本人は知らなかったと思 います。

*     *     *

静香の誕生日の巻

(1973年9月16日放送)
 これは「エスパーぼうし」がアイテムですが、これも原作とは異なっていました。 アニメではのび太は、ちゃんとしずかちゃんの誕生会に参加していました。 ピンク色のエスパーぼうしをかぶったのび太は、 「それではこれから、スネ夫とジャイアンを宙に浮かべてみせまぁす。」 と言って、それまでのび太の事をバカにしていたジャイアンとスネ夫を、宙に浮かせました。 驚きの声をあげる一同。しかしスネ夫たちは、 「し、しずかちゃん、これも僕たちのかくし芸なんです。」「えへへ、・・・そ、 そうそう。」と負け惜しみを言いました。するとのび太は、 「それではつぎに、スネ夫とジャイアンを床に落としてみせまぁす。」と言って、 二人を床にたたきつけました。
 つぎにのび太は、ドアを通らずに部屋から出てみせると言って、忍術の構えをしま した。するとのび太は、一瞬のうちに消え去りました。 再び驚く一同。やがて皆は窓のから顔をのぞかせて、微笑んでいるのび太を見つけ ました。
 しかし次の瞬間、スネ夫とジャイアンが、部屋にのび太の服が残されている事に気 付きました。のび太も自分が素っ裸である事に気が付き、パニクりました。部屋 の中は大爆笑になり、様子を見に来たドラえもんはあきれていました。
 書いていて思い出しましたが、のび太がこのエスパーぼうしを使いこなせるよう、 灰皿で訓練する際に、ドラが 「自分のところに来るように、強く思って!もっと強く思って!もっともっと、 もっと強く思わなくっちゃダメ!」と何度もせかし、それに応じてのび太の力んだ 顔が、だんだんスゴイ形相になっていきました。

(以上、荻原さんのメールより)

*     *     *

 以上、すべて荻原さんから頂いたメールを紹介させていただきました。荻原さんは旧ドラを観たのは本放送の時だけだそうですが、そうは思えないほどよく覚えていらっしゃいますね。
 今回紹介させていただいた話ですが、第1話「出た!! ドラえもんの巻」は、正月の話である原作をアレンジして、のび太のキャラクターをわかりやすく視聴者に説明しようと試みたのでしょう。のび太のダメっぷりが伝わる内容になっていると思います。本話については、さらに山本 登さんからも情報をいただきましたが、上でご紹介した続きで、

ドラえもんと出会い、彼の秘密道具を使った後ののび太は、それまでとは大変身。
体育のマラソンではトップ。あげくに先生の出す「1+1=」の問題に誰も答えられず、
スネ夫が「先生、そんなの大学生じゃないとわからない!」と言い出す。
そこへのび太が「2」と書いて、先生が涙を流して感動する・・・

と言う場面があったそうで、これは原作「クルパーでんぱ」に相当する内容です。やはり、「クルパーでんぱ」が第1話に使われていたという情報は正しかったようです。
 次の「のろいカメラの巻」は、比較的原作(てんコミ4巻「のろいのカメラ」)に忠実ですが、スネ夫の家の女中の存在が異彩を放っています。「決闘! のび太とジャイアンの巻」は、相当する原作は見あたらず、旧ドラ初のアニメオリジナル作品のようです。「男は力で勝負するの巻」と言い、旧ドラのジャイアンは見栄っ張りなところがあったようですね。「おしゃべりくちべにの巻」は、てんコミ1巻「おせじ口べに」が原作ですが、のび太のママとスネママとの口げんかは全くのオリジナル。「のろいカメラの巻」と言い本話と言い、どうも旧ドラでは骨川家の存在が結構大きかったようです(スネ夫の家の詳しい設定画も現存しています)。「成績表はいやだなあの巻」はFFランド6巻「いんちき薬」が原作らしいですが、ほぼ原形をとどめていません。この話でもスネママが活躍しています。
 最後は「静香の誕生日の巻」。もうこの頃には放映終了は決定していたと思われますので、元々クリスマスの話だった「エスパーぼうし」をここに持ってきたのでしょう。これは、誕生日会の設定を除けば、比較的原作に忠実だと思います。
 また、荻原さんからは、上記以外の話についても、覚えていらっしゃる部分の情報をたくさんいただきました。それらを、ここでまとめて紹介させていただきます。
 「ペコペコバッタ大騒動の巻」「屋根の上のすてきな子の巻」「のび太のご先祖さんの巻」「パパとママの結婚記念日の巻」「わたしは誰でしょうの巻」などは、それぞれ原作とほぼ同じ展開だったようです。これらは全て放映1月目の作品ですから、開始当初はまだ比較的原作に忠実に作っていたと言う事かもしれません。
 そして、「おせじ鏡の巻」はオチが原作と異って、ドラがおせじ鏡を別の実物を悪く写す鏡とすり変えると言う展開に変えられており、「すてきなガールフレンドの巻」は、ロボ子としずかが互角に闘うという展開があったそうです。後者は、旧ドラのドタバタ性の強さを感じられる興味深いアレンジだと思います。


のび太は雨男の巻

(1973年5月27日放送)
 学校ハイキングの前日のび太がスネ夫にのび太は雨男だから傘が必要だといじめられ、ドラえもんがお天気ボックスを出すがトラブル発生。そこで水を集める輪を使って雨が降った途端、スネ夫とジャイアンの上で集中させみんなに2人こそ雨男だったとおもわせる。

*     *     *

ねがい星流れ星の巻

(1973年6月3日放送)
 原作同様にねがい星の争奪戦があった訳だけどスネ夫かジャイアンは怒ってねがい星を外に捨ててしまった。それを流れ星と勘違いしたしずかちゃんが「赤ちゃんが欲しい」と祈った為ねがい星は何処かの赤ちゃんを持って来てしまい、のび太とドラえもんは手がかりを探しに一苦労。

*     *     *

自分のかげをつかまえろの巻

(1973年7月29日放送)
 お手伝いを命じられたドラえもんとのび太は自 分の影を召し使いにしてプールに行ってしまう。最初は真面目に働いていた影だがだ んだんと知恵がつきそれにともなってのび太達も黒くなり始める。事態の重要さに気 づいた二人は影達を追っかけるが逆に影達はプールの「日焼け大会」に優勝して表彰 されるところだった。プールサイドで行われる時間制限おっかっけこ、時間ぎりぎり にジャンプし影を捕まえたのび太達だが元に戻ったおかげで黒い色も消え優勝は失格 になってしまった。

*     *     *

クーラーパラソルの巻

(1973年8月19日放送)
 夏の暑さで駄々をこねるのび太に傘下の温度を調節できる クーラーパラソルを貸したドラえもん、のび太はそれを使って我慢大会で賞品(カ ラーテレビだったと思う)を狙う。一方カラーテレビ?を欲しがるかわいい子供の為 に我慢大会に出る着流しおじさんを知ったドラえもんは、のび太の狡さに呆れて温度 をクーラーからストーブにしてしまう。リタイヤしたのび太を放っておいて着流しお じさんにクーラーパラソルを差し出そうとするが「ズルはいけない」と突っぱねるお じさん。仕方なく自分がクーラーパラソルで氷詰めになって息を吹きかけた事でほん の少しの差でおじさんが優勝する。ドラえもんは氷詰めになってバタンキュー。

*     *     *

まんが家修業の巻

(1973年9月2日放送)
 漫画家に弟子入りしようとするドラえもんとのび太だが無茶な難題に閉口して失 格。既に弟子入りしていたガチャ子が何とか部屋に入れてやるが突然踊り出したりす る様子をアイデアのひらめきと思い真似したりするが救急車がやって来て漫画家は踊 りながら運ばれていった。

(以上、通りすがりの箱庭村民さんのメールより)

*     *     *

 以上は、通りすがりの箱庭村民さんから頂いたメールによります。比較的短い文ですが、そのまま掲載させていただきました。シリーズ後半の話に関する情報が多いですが、先にご紹介したシリーズ前半の話とは逆に、かなりアレンジされている事がわかります。「まんが家修業の巻」などは、漫画家の様子が、現在ではかなり問題になりそうですね。
 通りすがりの箱庭村民さんからは「おしゃべりくちべにの巻」の情報もいただきました。冒頭部分が荻原さんの情報とは異なり、「”スネ夫のママはおしゃべり(悪口)で有名”と言うのをきっかけにドラえもんが道具を出した」とのことです。
 「のび太は雨男の巻」については、真道寺軍さんからも情報をいただきましたが、原作としては「ロボットのガチャ子」に加えて「お天気ボックス」の内容も入っており、明日晴れるかどうかのび太とスネ夫が賭けをしていたそうです。
 また、「自分のかげをつかまえろの巻」については、オダさんからも情報をいただいておりますので、それを御紹介します。


自分のかげをつかまえろの巻

(1973年7月29日放送)
 確か影が動き出すのは原作と同じなのですが、その影がのび太からジャイアンやスネ夫の影にもなってそのたびとばっちりをうけた者が影を追いかけるという話だった様に思います。ついでにその時日焼けコンテストだかをやっていて、たまたま影のせいでどんどん黒くなってしまったジャイアン(影の方?)がそのコンテストで優勝するっていうオチがありました。最終的にどう元に戻ったかは思い出だせません、ごめんなさい。

追記
 のび太のとばっちりで次々追いかけるのではなく、それぞれのキャラがバラバラに自分の影を追いかけてた様な・・・(かなり記憶が薄いので間違ってたらごめんなさい)。そして、その中にドラえもんの影も混ざってた様な気も・・・(イマイチ自信なし)。ただこの頃のドラえもんは傍観者的立場に徹する事はあまりなく、話の中心にいる事が多かったので多分この話の事では? たしかみんな影とケンカしてたし・・・。

(以上、オダさんのメールより)

*     *     *

 以上、通りすがりの箱庭村民さんの情報とは異なる部分もありますが、影の黒さで日焼けコンテストに優勝するという部分は共通しています。原作の「かげがり」が、人間と影が入れ替わる恐怖を中心に描いていたのと比べると、旧ドラ版はやはりドタバタ中心に描いた感じですね。オダさんからも、「(旧ドラ版では)恐怖は感じなかった」とのコメントをいただいています。


ガチャ子登場の巻

(1973年6月24日放送)
 ちょっと自信がないのですが、多分初登場の回のお話だと思います。
 カチャ子はかなりクセの強い(『デンカ』のナラ子的)厄介者キャラで、ドラものび太も「頼むから未来の国に帰ってくれ」と懇願するのですが、ガチャ子はのび太に「あたしをおいてくれたらドラえもんの秘密を教えてやる」と持ちかけます。で、ガチャ子に耳打ちされたのび太が爆笑しつつ、「ドラえもんは未来の国の劣等生で、あまりにできが悪いために現代へと送られて来たんだって」とドラの秘密を明かし、恥じるドラえもん、というのがエンディングでした。何か原作の設定ぶっちぎりで当時も違和感を感じていました。
 因みにガチャ子は、確かお尻から卵型爆弾を生んで、しょっちゅうドラやのび太をやっつけていたのでは?

(以上、真道寺軍さんのメールより)

*     *     *

 この話、ドラえもんの「未来の国の劣等生」という設定が、原作の「ダメなのび太の運命を変えるために未来から送り込まれた」とかみ合わない感じで、興味深いです。ガチャ子の卵形爆弾も、原作にはない設定ですね。噂で聞いた事はありましたが、実際にはどの話で登場したのか、気になるところです。


くるった腹時計の巻

(1973年8月5日放送)

 次にご紹介するのは、旧ドラ本編の内容そのものです。植田禎明さんから放映当時の録音を聴かせて頂きましたので、できる限り内容に忠実に、文字に起こしました。「くるった腹時計の巻」の後半部分ですが、雰囲気は十分伝わると思います。ただし、どうしても聞き取れない箇所は「***」で表しました。
 なお、トラブル防止のためこの録音テープの貸し出し・ダビングなどの依頼は受け付けておりません。ご了承下さい。

*     *     *


(話の途中から)

ドラ 「全っ然。すっかりさえちゃってんの」
のび太 「ぼくはもうつき合えない。先にねる」
ドラ 「ねてばっかりいるんだ」
のび太 「ファーア、夜になれば誰でもねむくなるさ」
ドラ 「ところがぼくは全然ねむくないの」
のび太 「押し入れに入ってね、100数えればねむっちゃうよ」
ドラ 「しょうがないなあ、もう」
 
(のび太のいびきをバックに)
ドラ 「932、933、934、935、…2028、2029、2030、…3624、3625、3626、…全然ねむくないな」
「そうだ、こんなにねむれないのはあの腹時計の針が「おきる」を指したまま止まっちゃってるからだ。もうばかばかしい、やめたっと」
「チェッ、人の気も知らないでもう…。えーっと何かないかなあ。いっぱいあるぞあるぞ。おなかいっぱいになるとね、ねむくなるって言うから…。お次はこれと…。いやーおいしそう」
「うーんおいしい。ものすごくおいしいね。あらっ、もうからっぽ。ほかに何かないかなあ。にんじんのしっぽとか、だいこんの葉っぱとか、何でもいいんだけどなあ…。あったあったあった。しっぽがあった。アラララララ…ヒャー〜〜」 ※1
(ガチャンと、何かが割れる音がする)
パパ 「だれだっ!」
ドラ 「ぼく」
パパ 「ああ」
ママ 「ドラえもん!。これは一体どういうこと?」
ドラ 「ねむれないもんだから何か食べようと思ったの」
ママ 「夜中にうちの中をうろうろされちゃ困ります」
パパ 「だったらマラソンしておいで。疲れてねむくなるよ」
 
(場面転換、ドラえもんが外で走っている)
ドラ 「ファイト、ファイト、ファイト、ファイト、ファイト、ファイト、ファ〜イ〜ト〜、ヘッヘッ」
「あーつかれちゃった。おなかばっかりすいちゃってちっともねむくならないのよ。こまったなー。ガチャ子のやつ何してんだろ。早く直してくれないかなー」
ネコ 「ニャーオ…」(何匹もの鳴き声が重なる)
ドラ 「そうだ、あいつら集めてあそぼっと。このネコジャラリン鳴らせばみんな寄ってくるんだもんねーっと」 ※2
(ジャラジャラと鈴の音)
ネコ 「ニャニャニャニャニャニャーオ、ニャーオ、ニャーオ…」(コーラスしばらく続く)
男1 「いま何時だと思ってるんだ!」
男2 「ギャーギャーギャーギャーうるさくてねむられやしない!」
ドラ 「どーもすいましぇーん」
「夜中にこんな事やってんのはぼくくらいのもんだろうな。そうだいいもんがあるんだ。この横笛さえあればね、みんなねむっててもぼくの言うこと聞いちゃうのよ」 ※3
(ドラの笛の音)
ドラ 「いやあ、みなさんお休みのところわざわざすいません。ところでこれから野球やりませんか。しかもね、君たちがやったこともないほんものの野球場使わせたげんのよ」
(また笛の音)
ドラ 「そら応援団も来たあ」
 
(場面転換、後楽園球場)
ドラ 「******。気分が出ないねえ。よーし」
(さらに笛)
ドラ 「よーしOKOKOK。プレイボール。ジャイアンがピッチャー、一番バッターのび太ね。しまってこー、しまって。」
「スネ夫ー、球がいったー。スネ夫起きろー」
「ピッチャーが外野を守るなんて野球ないのよー」
(ジリリリリリリと、目覚まし時計の音)
守衛 「ファーアー。さて、最後の見回りをやるか」
ドラ 「かっとばせー。かっとばせー」
守衛 「あら? あー、こりゃ一体どうした事じゃ。こらー! お前らは誰だー!!」
ドラ 「あらー、守衛に見つかっちゃった」
守衛 「こらー、何者だー!!」
(またもや笛)
守衛 「わー、な、なんだー!!」(こける音)
 
(場面転換、野比家)
ママ 「のび太? のび太? いないわ。どこ行ったのかしらこんなに早く」
スネ夫のママ 「奥様奥様たいへんざますわ。うちのかわいいスネ夫が見当たらないんざますの」
ママ 「うちののび太もですよ」
スネ夫のママ 「お宅も! 朝の体操の時間には早すぎるし、集団誘拐魔でざましょうか」
ママ 「とにかく学校へ行ってみましょうよ、奥様」
 
(場面転換、学校)
スネ夫のママ 「ああ、ああーっ、ぼうやーっ。けがは、けがはない?」 ※4
ママ 「大丈夫よ、ぐっすりねむっているだけ。のび太、起きなさい。のび太、どうしたの」
スネ夫のママ 「やっぱりラジオ体操に遅れまいとして、早めに出てきたんざますね。いい子ちゃんねー。」
守衛 「かっとばせー! あれ?」
のび太 「僕らはどうしてこんなところにねてんのかなー」
ドラ 「やれやれ、あやうくばれるとこだった。ああ、よかった」
 
(みんなで体操中)
のび太 「なんだかもう体操したあとみたいに腕が痛いや」
ジャイアン 「そう言えば俺、ゆうべ後楽園でナイターやった夢見たぞ」
スネ夫 「僕もだよ」
のび太 「ええーっ。僕も見たんだよ」
しずか 「あたしなんか、応援に行った夢見たわよ」
のび太 「こりゃふしぎだなあ」
ジャイアン 「へんだなあ」
ドラ 「3、3、5、5、6、2、3、2、急にねむくなって、何だか******。おおっと、何だかねむいなあ。いや起きちゃう」
ガチャ子 「うーん、やっと直ったみたいだわ。おきる、ねる…」
ドラ 「おおっと、ねむいのかな。今度は起きちゃうんだよなー。ねむいんだよなー。また起きちゃった、また起きちゃった。ねちゃお。ねむくないねむくない。ねむたいねむたい。うわーどっちかにしてよ。どうなってんの」

以上、「くるった腹時計の巻」より

(無用なツッコミ)
※1…野菜の葉っぱくらいで大喜びするとは、いやしすぎる。これも「腹時計」のせいなのか?
※2…「ネコあつめすず」は故障していたのではなかったのか? しかも名前が違う
※3…寝ている人間を操ると言えば「ゆめふうりん」や「ムユウボウ」だが、ここではなぜか笛。そんな道具は聞いたことがないので、正式名称や形が気になる
※4…さすがに旧ドラの時期では、まだ「スネちゃま」とは呼ばれていないようだが、「ぼうや」もスネママらしい呼び方ではある

*     *     *

 以上、「くるった腹時計の巻」でした。この内容から想像すると、おそらく前半は朝の体操のために早起きする道具をのび太がねだり、それで腹時計を出してテストなどをしているうちに腹時計がドラえもんに働いてしまい、さらに腹時計が狂ってしまってドラえもんは眠れなくなったと言うような展開なのでしょう。
 ここで描かれているドラえもんは、自分が眠れないからと言って皆を寝たまま連れ出して、あげくの果てに後楽園で野球をやってしまうなど、自分勝手で強引であり、原作初期とも微妙に異なる性格です。「旧ドラではドラはあんまり道具を使わなかった」と言う噂を聞いたことがありますが、それどころか自分のために道具を使いまくっていますね。
 本話の原作ですが、単行本に入っている話はもちろん、未収録作品にもそれらしい話はありません。しかし、時計に操られるドラえもんと言えば「スケジュールどけい」(てんコミ3巻)、寝ながら野球すると言えば「夜の世界の王さまだ!」(てんコミ6巻)です。本話は、この2話を合成して作られたのかも知れません。


宇宙飛行士になりたいの巻

(1973年9月23日放送)
 この話の原作ネタは「そうなる錠」です。
 学校の授業で「将来何になりたい」という先生の質問にジャイアンは「野球選手」、スネ夫は「ダイダイ家(漢字不明です。旧作では骨川ではなく、ダイダイという変な名字でした)の跡取りとなる」静香は「お嫁さん」、そしてのび太は「宇宙飛行士」というが、のび太はジャイアン達からけなされ、ドラに泣きつきます。
 そこでドラは「訓練が必要だからね」といって、「そうなる錠」を出します。そうなる錠で宇宙飛行士になったつもりになって空を浮遊して楽しむのび太。やがてジャイアン達とも仲直りして、全員でそうなる錠を飲んで....というところまでは覚えているんですが、その先はちょっと忘れてしまいました。

(以上、numさんの掲示板書き込みより)

*     *     *

お天気ボックスの巻

(1973年8月26日放送)
 明日の遠足がどうやら雨らしく、気掛かりなのび太のために、ドラえもんが「お天気ボックス」を出す。ところがこの道具の実験を始めたドラのびは、カードを入れるだけで天気が変わることが面白くなってしまい、部屋の中でめちゃめちゃに天気を変えて遊ぶ。
 ところが最後に虹が架かったため、そのキレイな光景に、のび太は「そうだ、しずちゃんにも見せてあげよう」と言って、お天気ボックスを担いでしずちゃんの家に。そしてしずちゃんの迷惑も省みず、彼女の部屋でお天気カードをめちゃめちゃに差し込んで遊ぶのび太。だが、カードを入れる順番を間違えたため虹は架からず、結局し ずちゃんの部屋は雨風でぐちゃぐちゃになってしまっただけ。平謝りののび太でした・・・・

*     *     *

そっくりクレヨンの巻

(1973年9月16日放送)
  スネ夫らとスケッチをしていたのび太は、絵があまりに下手くそで笑いものにされる。
 泣き付かれたドラは「そっくりクレヨン」を出す。これは被写体が書いた絵そっくりになってしまう未来のクレヨンで、これならどんな絵を書いても「そっくり」になると、のび太は自信満々でスネ夫の元へ向かう。 しかし途中でジャイアンと道端でぶつかってしまい、その際、そっくりクレヨンはジャイアンが持っていた普通のクレヨンと入れ替わってしまう。ジャイアンは動物園に写生に行くところだった。ジャイアンは、動物が自分の描いた通りの姿に変わってしまうことに気づいて大喜びし、動物園中の動物を下手くそな絵のまんまに変えてしまう。 一方スネ夫やしずちゃんに大見得を切って写生を始めたのび太は、結局再び物笑いの種にされるだけであった・・・・

(以上、numさんのメールより)

*     *     *

 numさんからは、メールと掲示板の両方で情報をいただきました。  まず、「宇宙飛行士になりたいの巻」ですが、話のアレンジの激しさもさることながら、「スネ夫の名字が骨川でなかった」と言う事実が衝撃的です。同人誌「ドラえもん129.3」(ネオ・ユートピア発行)に掲載されているスネ夫の家の設定画を見ると、確かに「スネ夫の家」としか書いてありません。原作では、連載初期の「おいかけテレビ」(FFランド1巻)などで既に「骨川スネ夫」と言うフルネームは登場しており、旧ドラではなぜわざわざ妙な名字を付けたのか、全く謎です。
 後の二つはメールでいただいた情報です。やはり旧ドラをご覧になっていた知人の方と記憶が一致したということで、その内容を教えていただきました。「そっくりクレヨンの巻」については、前半のみですが、山本登さんからも同様の内容の情報提供をいただいているので、間違いないと思われます。
 また、numさんからは最終回Aパート「ネンドロン大騒動の巻」の情報もいただきました。空き地の土管の中でジャイアン達と薬の取り合いになり、全員の顔がぐにゃぐにゃに歪んでしまうという原作よりも強烈なラストだったとのことです(原作で顔がめちゃくちゃになるのはスネ夫とスネママのみ)。

追記
 最近、本編を鑑賞した「男は力で勝負するの巻」にスネ夫の家が登場しましたが、表札は「骨川」となっていました。よって、「ダイダイ家」は、スネ夫の名字ではなく、別の意味(代々続くと言う事?)だったと考えられます。


ウルトラミキサーの巻

(1973年6月3日放送)
 僕の記憶する限り、これもほぼ原作と同じ形で作られていた様に思います。犬と猫がけんかするシーンで始まり、ドラえもんがその犬と猫をウルトラミキサーで合体させるシーンも同じ。又、くずかごと掃除機、カミソリとライターを合体させたり、あげくにトイレと冷蔵庫を合体させたばっかりにのび太の両親は激怒する・・・

 しかし、この作品で、唯一、原作と違うシーンが出てきます。それは、のび太のパパが、古道具屋で大変な値打ちのある壺だといって、買って帰って来たシーンの後です。原作では、パパがかわいそうだと、そのまま壺を浴室に持って行って、風呂桶と合体させて満足するというシーンで終わっていましたが・・・

 私の記憶が正しければ、旧アニメでは、パパが壺を買って来た時、ママが返品して来いと激怒し、夕日の沈む街の中を、壺を背負ってとぼとぼと歩いて行く。そんなパパをのび太とドラえもんが追いかけて、「パパ待ってよ!僕たちが何とかするから!!」そんなシーンが、リアルに描かれていました。

 さらに、ウルトラミキサーで合体させた風呂桶で風呂をわかし、実際にパパが風呂に入って、まるで王子様になった様な気分だと満足し、風呂からあがってきてママと、「君たちもたまにはいいことするじゃないか」って二人をほめたたえる・・・

 原作では、何気ないシーンだったけど、旧アニメでは、むしろクライマックスだった様に思います。

*     *     *

大リーグの赤バットの巻

(1973年6月17日放送)
 これって、たしか、すっ、、、ごく長〜い、赤いバットでした。ほとんど、のび太くんの背丈の倍ぐらいあるような。

 確か、得意そうに大活躍しているスネ夫に、静香ちゃんから、特製の差し入れ(確か、静香ちゃんの作った料理だったような・・・お寿司か、オードブルのような物だったかな?)があったように覚えています。

 また、これも記憶の確かなところですが、原作では、こんなことあり得ないのですが、なぜかスネ夫がピッチャーで、のび太がバッター・・・ってことは、それぞれ、違うリーグにいた、って事ですよね?

 バッターボックスに立ったのび太。一球目、二球目と、スネ夫は、のび太をからかいつつ、かなりゆっくりしたボールを投げているにもかかわらず、二球とも空振り。そしてドラえもんに、例の赤バットを出してもらい、 「バットが長けりゃいいってもんじゃないぞ!よーし!最後は剛速球で、締めくくりだー!」といってスネ夫の投げたボールを見事にホームラン・・・

*     *     *

キャンプ騒動の巻

(1973年8月12日放送)
 のび太が、明日がキャンプだと、うきうきしながら準備しているのを見て、ドラえもんも嬉しそうに準備しだしているのを見てのび太が、「何してるの?言っとくけどドラえもんは連れて行けないよ。だってキャンプは学校行事で行くんだから」

 なんとドラえもんは、のび太のリュックの中にかくれて付いてきた。おまけにリュックの中の食べ物はからっぽ。泣きべそをかいているのび太に、「私の半分あげるから泣かないで」としずかちゃんがなだめる。

 川に向かってジャイアンとスネ夫がおしっこをしているのを見たドラえもんは激怒し、飯ごうで炊いたごはんを食べようとしている二人に、「君たち、さっき川で何してたっけ?そのご飯、川の水で洗ったんだよね?おしっこの味がしておいしいだろうね〜」当然二人は、せっかく炊いたご飯を放り投げてしまう。

 また、昆虫採集のしかたを詳しく知っているのび太を先生が隠れた才能だとほめたたえる、っていうシーンも確かあったと思います。

*     *     *

ぼくに清き一票をの巻

(1973年9月2日放送)
 「清き一票」って懐かしい言葉ですが、これはなんと、のび太がクラス委員に立候補した話だったと記憶しています。
 たしか、立候補したのび太が、友達にチョコレートを配って歩く、っていう選挙違反まがいのシーンがありました。
 また、ドラえもんが余計な事をした為に、もう一息だったクラス委員の座をのがし、ドラえもんと一緒にとぼとぼ家に帰る、っていうシーンで終わりだったと思います。

(以上、山本 登さんのメールより)

 かすかに覚えているエピソードとしては、のび太のクラスで学級委員長を決める選挙があり、のび太が委員長に立候補したんです。(委員長は副委員長を指名することができ、のび太はしずかちゃんを指名するつもりでした。他にはしずかちゃんも立候補してましたが、のび太は自分が指名されるとは考えませんでした)
 その後手段は忘れました(たぶんここで何か道具が出てきたはずなんです)が、のび太がクラスのみんなに贈り物をして、自分に投票するようにお願いに回ります。(贈り物はそれぞれの自宅に持っていきました。早い話が買収工作ですね)
 ……で、投票の結果しずかちゃんが委員長に決まります。ショックを受けるのび太にスネ夫が「いくらプレゼントをもらったって、のび太が委員長じゃねぇ」というようなことを言いました。それを聞いたしずかちゃんが「投票してもらうためにプレゼントをするなんて、のび太さん、なんてズルいことをするの! じゃあ、副委員長にのび太さんを指名するつもりだったけど、スネ夫さんにやってもらうことにするわ」と言い、のび太が「そんな〜」というところで終わりでした。

(以上、三浦 郷さんの掲示板書き込みより)

*     *     *

 原作付きもアニメオリジナルも、それぞれが興味深い内容ですが、「キャンプ騒動の巻」などは「川でスネ夫がおしっこ」という部分が、後に描かれる「サウンドバカチョン」を先取りしている感じで面白いです。
 「ぼくに清き一票をの巻」は、お二人から情報をいただいていますが、大筋のストーリーで判断する限りでは、アニメオリジナルエピソードのようですね。「のび太が買収を行う」と言う点が、現在知られているキャラクターのイメージからは考えられないことで、意外でした。何か道具が絡んできたのでしょうが、それが何だったのかが気になるところです。
 なお、上で紹介した以外にも、山本さんからはいくつか情報をいただきましたので、紹介しておきますと、まず、のび太の担任の我成先生を、ドラえもんは「ガナチャン」と呼んでいたとの事。初期原作のドラならば、確かにこんな呼び方をしていても違和感はありません。
 また、「クイック・スロー大作戦の巻」は、ほぼ原作に忠実で、現在の単行本では「青森までいってきた」事になっているドラえもんが、「北海道まで行ってきた」のだそうです。雑誌掲載の初出版でも「北海道」であり、旧ドラ放映当時にまだてんとう虫コミックスは発刊されていなかったので、これは当然ですね。他に「へんなロボットカーの巻」も、ほぼ原作に忠実だったそうです。「クイック・スロー大作戦の巻」については、Yuさんからも情報をいただきましたので、次に紹介させていただきます。


クイック・スロー大作戦の巻

(1973年5月27日放送)
 これはコミック本とほとんど全く同じ内容でした。アレンジは全くありません。ドラえもん、のび太、パパ、ママなど、どのキャラでもクイック(又はスロー)というクスリを飲むときに変な効果音が鳴っていました。飲む直前に薬を口に入れる直前『カチッ、カチッ、カチッ、カチッ、』というメトロノームのような音が鳴ります。そして、飲んだ瞬間『ピ!ピ!ピ!ピ!ピ!ピ!』という連続音が鳴っていました。これはドレミファ・・・という具合に音程が序序に高くなり、音も強くなっていました。最後にパパとママがこのクイックというクスリを「うまそうなドロップ」と言って飲むんですが、すると走るのが止まらなくなってしまいます。ドラえもんはパパとママを追いかけまわし「これ(スロー)を飲め〜〜!」と叫んでいました。本当にドタバタ劇のような内容でしたね、あれは。(笑)ドラえもんの声はこの時は富田氏でした。

(以上、Yuさんのメールより)

*     *     *

 この「クイック・スロー大作戦の巻」、色々と面白い効果音が使われていたようですね。音声だけでもいいので、ぜひ聴いてみたいものです。
 Yuさんは、この話の他にタイムマシンに乗っておばあさんに会いに行ったり、ジャイアンの父親の会社に幽霊が出るというのでみんなで探検にいくといった話を覚えていらっしゃるとの事です。前者は「のび太のおばあちゃんの巻」でおそらく間違いないでしょうが、後者が分かりません。一番近い内容と言えるのは「おばけ屋敷の謎の巻」でしょうか。


さようならドラえもんの巻

(1973年9月30日放送)
 ドラえもんが未来に帰ることを、のび太君に話そうかどうしようか、公園の土管の上で、その鳥(注:ガチャ子のこと)と話をしている場面が、確かにありました。
 セワシ君が、確か、ドラえもんを迎えに来たようでした。(正しい記憶ではないですが)帰るとき、のび太が餞別に、ドラ焼きの箱をお土産に渡します。
 そして、最後に別れを告げて、ドラえもんが机の中に入って、「さよなら」と言って消えていきます。それを見て、のび太は更に泣きます。暫く経って、机の引き出しが空いて、のび太は驚きます。「どうしたの」と聞くと、ドラえもんは、「ドラ焼き忘れた」と言って、またのび太の側へ行き、畳の上のドラ焼きの箱を取って、またのび太と、再び別れを惜しみます。そして、机のタイムマシンへと消えて行きました..。
(以上、Junさんのメールより)

 のび太は自転車に乗れないという悩みをもっていてジャイアンやスネ夫にバカにされていた。未来に帰るというドラえもんと残された時間の中で一所懸命練習するがなかなか上手く乗れず落胆してしまう。今回ばかりはのび太の自立を促すため秘密道具は一切使用せず、生身での挑戦を続ける二人。いよいよドラえもんが帰っていったあとも一日中練習を続け、何度もコケながらようやく少しずつ乗れるようになったのび太。
 夕焼け空に向かって「ドラえもーん!僕、自転車に乗れるようになったんだよ〜!!」と泣きながら叫ぶ。
 その姿を未来の世界から四次元TV(注:タイムテレビの事か)を通して見守るドラとセワシ。目には大粒の涙が・・・。
(以上、Akanさんの掲示板書き込みより)
 おそらく最終話と思われるエピソードで、どうやってのび太にドラえもんが未来に帰る事を知らせる(納得させる)かということで、ガチャ子(アヒルのような鳥ロボット?)のアイディアでのび太の前でドラえもんが動かなくなり、ガチャ子がドラえもんの口の中をのぞき込んで、「まぁ大変、中身が錆ついちゃってるわ!これは未来につれて帰って治さないと!」と言うような事を言うのですが、その後すぐにドラえもんがむっくりと起きあがり、「やっぱり本当のことを言わないと…」と、未来に帰ることを告げるというシーンがあったと思います。
(以上、ぺぇさんのメールより)

参考になるかわかりませんが、旧ドラの最終回のワンシーンを再現したいと思います。

がちゃこ 「口を大きく開けて」
ドラえもん「あーん」
がちゃこ 「あらやだ、サビが出てる」
のびた  「えっ!?」
がちゃこ 「壊れかかってんのよ」
のびた  「いやだいやだ、ドラえもんいやだー!」
がちゃこ 「このままにしとくと絶対に壊れちゃうわ」
のびた  「がちゃこ、どうすればドラえもんを直せるの?」
     (ちょっとこの辺忘れました)
ドラえもん「だけど僕がいなくなったら困るんじゃないの?」
のびた  「困るに決まってるよ。だけど君が直るならどんな事でも我慢するよ。」
ドラえもん「なんと言う優しい言葉・・・(泣く)
      のびた、ごめんよ、壊れたなんてウソなの・・」
のびた  「え・・ウソ?」
がちゃこ 「それ言っちゃおしまいじゃないの!あたし、しらないから!」
ドラえもん「のびた・・・」
のびた  「ひどいぞ、ドラえもん、ウソまでついて帰ろうだなんて!」
ドラえもん「でも、さっきセワシがきたでしょ?
      どうしてもボクは行かなきゃならなくなったの
      (ここでひとことあったはずですが、忘れた)
      のびた、ボクがいなくても大丈夫だよね?」
のびた  「わかったよ、ドラえもん・・・」

残念ながら憶えているのはここまでです。何回も聴いたとは言っても30年も前の記憶ですので一字一句間違いないとは言い切れませんが、ほぼ合ってると思います。特にこのシーンは子供心に強く焼き付いています。最後にラストシーンをもう一度紹介します。

ドラえもん(未来の世界からセワシとタイムテレビで自転車に乗れたのびたを見ながら)
     「のびた、未来の国から見ているよ。りっぱな男の子になってね!」
のびた  (自転車に乗って夕日に向かい)
     「ドラえもーん!見てくれよー!」

(以上、がちゃこさんの掲示板書き込みより)

*     *     *

 ストーリー紹介の最後は、最終話「さようならドラえもんの巻」です。この最終話は、単行本未収録版最終回その2(「小学四年生」1972年3月号掲載)を原作とした話で、自転車の練習をするのび太をドラえもんとセワシがタイムテレビで見守るラストシーンは、ほぼ原作通りです。ただし、原作では「練習中」で終わっており、乗れるようになるところは描かれていません。Akanさんやがちゃこさんのご記憶どおりならば、かなり感動的なラストシーンのようなので、ぜひとも観てみたいものです。なお、「最終話でのび太が自転車の練習をしていた」と言う情報は、ルネッサンス情熱さん、ごうすとさんからもいただきました。
 そして、ぺぇさんからいただいた情報からも、旧ドラ最終回には、原作と同様に、ドラが壊れたふりをする場面があったことがわかります。ただし、原作でドラを未来につれて帰ろうと言うのはセワシの役目でした。旧ドラでは後半ガチャ子がレギュラーだったので、この役割が振られたのでしょう。
 それに対して、Junさんから教えて頂いた内容は、アニメオリジナルの部分だったようです。ガチャ子が最終回にいるという事実は、ぺぇさんからいただいた情報とも合致します。最終話に限らず、原作にない部分でガチャ子が絡むというパターンは他の話でもあったはずで、その一端が垣間見られて興味深いところです。
 また、以前に「旧ドラではドラの好物はドラやきではなかった」と言う噂を聞いたことがありましたので、最終回でドラが取りに戻ったのは本当にドラやきだったかのかをJunさんに確認したところ、旧ドラでも何度もドラ焼きにまつわるエピソードが描かれており、箱に1ダースくらい(?)入っているドラ焼きが登場したそうです。


 ストーリー紹介は、これで終わります。原作やシンエイ版とはひと味違う旧ドラの世界をお伝えできれば幸いです。ジャイアンの父ちゃんや、スネ夫のママなど、原作では全くの脇役として扱われているキャラクターが、旧ドラではキャクターがしっかりと描かれて、結構目立っていたようですね。
 最後になりましたが、情報を提供していただいたみなさんには、あらためてお礼を申し上げます。ありがとうございました。